2010.05.24 Mon
20世紀への世紀転換期のアメリカで、女性たちはさまざまな運動を展開した。それぞれが革新的とも保守的とも取れる立場から、限られた影響力ながらも女性たちが社会へ働きかけた運動を総称して「第一波フェミニズム運動」という。「第一波フェミニズム運動」といえば、たいてい女性参政権を目指したと考えられがちだが、本書は、禁酒運動にはじまり、女性クラブ運動、セツルメント運動や労働運動、そして社会主義運動やアナキズム運動、さらに産児制限運動や平和運動など、女性たちが参加した幅広い運動群を「第一波フェミニズム運動」として、総合的・包括的に論じている。この時代の女性たちの運動に関しては、個々の目標や人物に注目した個別な研究が多いなか、第一波フェミニズム運動の総論としての本書の意義は、非常に大きい。 本書を読んでいて、気づかされたことがある。わたしたちは第一波フェミニズムをみるとき、フェミニズム理論の「起源」を探したり、第二波フェミニズム運動との連続性を見つけたり、あるいは当時の女性たちがもっていた本質主義的なジェンダー観もまた女性の地位向上やシスターフッドの育成に貢献したのだ、と理解したがる。歴史を振り返って、その歴史的事象が後世にどんな影響を与えたのかを「評価」したいという欲望のあまり、歴史上の当事者が個別具体的な経験や現実にどのように向き合い、どのような選択をしたのか、といった傾聴の姿勢を欠落させてしまう。そして、きれいに整理し理論化して満足する。本書は、そうした欲望に抗いながら、歴史上の人物ひとりひとりに寄り添って、思想の揺れや運動体のダイナミクスを丁寧に描き出す。第一波フェミニズムをもっと深く知りたいあなたへ、オススメの一冊。(mooty)
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