ご報告:介護保険の後退を絶対に許さない!1.14院内集会、無事終わりました。

満員の会場


介護保険の後退を絶対に許さない!1.14院内集会に、ご参加、ご後援、ご協力たまわりありがとうございました。おかげさまで参加者のべ270人を得て、熱気のある集会を実現することができました。集会の様子はIWJを通じて同時中継し、また後に録画はWANサイトでご覧いただけます。 この集会の成果として、「参加者一同」による以下のような声明を発信いたしました。 ご報告もうしあげます。 実行委員一同
*************************


114介護保険の後退を絶対に許さない!1.14院内集会 声明文

Ⅰ. はじめに

介護保険制度は、2000(平成12)年、高齢社会に必須の営みである介護を、社会全体で支え合うべくスタートしました。それまで家族の中に閉ざされた介護が見える化され、介護の社会化への一歩を踏み出しました。私たちは、介護保険制度20周年を迎える記念すべき年に、この間の変化を見据えつつ、令和最大の課題の1つである介護保険制度のこのたびの改定の動きに強い危機感を抱き、今後への要望を提出いたします。

Ⅱ. 今回改定の内容について

 社会保障審議会(介護保険部会・介護給付費分科会)に先立って、財務省財政制度等審議会に提出されたという今回の改定案は、最初に「財政ありき」の内容で私たちを怒らせ、驚かせました。

1)要支援はずしは許さない!
 すでに2014年改定で要支援1、2の訪問介護とデイサービスは介護保険からはずされ自治体の介護予防・日常生活支援総合事業に付け替えられました。サービスの提供は、「ボランティアなど多様な担い手」とされていますが、現状ではそのような担い手はごく少数です。また要支援・要介護でサービス形態を分けることは、高齢者を分断することにつながります。厚生労働省の方針である「健康寿命」の延伸に大きく反する政策であり、要支援者のコミュニケーション機会を奪うものです。
2)要介護1、2はずしは許さない!
 要支援に続き、要介護1、2の訪問介護・生活援助と通所介護の総合事業への移行が目論まれていますが、要介護1、2は軽度とはいえず、在宅介護が困難になる人々が多数います。 とりわけ認知症では要介護認定が軽度でも介護の負担が大きいことは知られています。他方、特養ホームの入居資格が要介護3以上と厳格化され、行き場に悩む人たちが増えています。将来的には要介護3以上の中・重度者だけに介護保険の利用を制限する方向を目指していることを、強く危惧します。
3)生活支援はずしは許さない!
 生活支援があってこそなりたつ「在宅介護」です。在宅介護は身体介護と生活援助を一体的に受けることで成り立ちます。一人ひとり暮らしの流儀の違う在宅での支援は、マニュアル化ができず、専門性が求められるプロのスキルが必要です。
4)ケアプラン有料化を許さない!
 ケアプランを有料化すれば、ケアマネージャーの利用抑制が必ず起こり、ケアマネージャーの独立性がますます損なわれます。介護保険利用の入り口を狭める有料化は許されません。
5)「現役並み所得」「一定以上所得」の利用者負担率の上昇を許さない!
 介護は医療と違って回復をのぞめず、長期にわたる介護保険利用者になることが予想されます。すでに利用者負担率の上昇にともなって、利用抑制が起きていることが現場から報告されています。利用者負担率の上昇については慎重な議論を望みます。
6)介護報酬の切り下げを許さない!
 介護職員の処遇改善に力を入れていると言い続けて何年も経ちますが、いまだに全産業の平均賃金より9万円も低いのが現状です。施設介護よりもさらに賃金水準が低いのが訪問介護。介護職あっての高齢者の在宅生活を確保するために、介護職の離職を防ぎ、定着し、誇りをもって働ける待遇改善を求めます。  

介護保険スタートから20年。度重なる改定は、利用制限と利用料上昇の歴史であり、私たちは介護保険が「だんだん使えなくなる」、その結果「おうち(在宅)がだんだん遠くなる」危機感を抱いています。
 政府から出される介護保険改定案は、つねに最初に「財政ありき」であり、もちろんそこから目をそらすことはできません。しかし一方で、この20年の介護環境の変化をきちんと政策形成に取り入れているか、また現場の利用者、働く人々の声を政策過程に適切に反映させているかを、見直す必要があります。
 介護保険が「だれひとり置き去りにしない」制度として、利用者、家族、ならびに働く人々に安心と安全を保証することを、心から求めます。


2020年1月14日
介護保険の後退を絶対に許さない!1.14院内集会 参加者一同

樋口恵子さん

司会の上野千鶴子さん、柳本文貴さん

惣万佳代子さん

富山ケアネットのみなさん

介護三人娘