「東大女子お断り」のサークル 新歓行事に参加不可

 1月29日の朝日新聞社会面の長い見出しです。ちょっと読んだだけでは、何のことかわかりにくいのですが、要するに、東大には、東大の女子学生はお断りというサークルがあり、毎年入部を断られる女子学生がいるので、東大教養学部オリエンテーション委員会はそういう女子学生差別をするサークルを、4月の新入生歓迎行事に参加させないと決めたということです。女子学生を入れないサークルってどういうサークルなの?と疑問を持ちながら読んでいくと、ひどいことがわかってきました。

 それらのサークルは、なんと、東大の女子学生の入部は断るが、他大学の女子学生の入部は認めていることが多く、「男子よりも女子は学歴が低い方がいい」という社会通念が背景にある、と記事は続けています。

 思わず、それってどういうこと?と叫びたくなりました。

 女性は自分よりも学歴が低い方がいいと考える東大生さんたち、あなたたちは江戸時代に生きているのですか?
 刀を差した男が風を切って歩いていて、女は後から黙ってついて行く、そういう時代を生きているのですか?
 この、21世紀の現在、女も男も、子どもも大人も、障害のある人もない人も、同じ人権を認め合おうという社会とは別社会に住んでいるのですか?

 ここで、学歴が高い/低いということを少し整理しておきます。『岩波国語辞典第八版』には次のように記されています。

がくれき【学歴】学業についての経歴。どの学校を卒業(または中退)したかという経歴。

 つまり「学歴」とは、どの学校を卒業したか、あるいは在学していたかの経歴なのです。自分より「学歴が低い」人というのは、自分が在籍し卒業した学校よりランクの低い学校の人ということになります。東大生にとっては、同じランクの東大の女子学生では困るわけで、ランクの低い大学の女性は歓迎ということです。女性を選ぶ基準が「学歴が低い」ことにあるというのには、驚きを通り越して唖然としてしまいます。

 東大生と言えば、やはり日本ではエリートです。多くの東大生たちは、これから官界・業界・政界・学界に入って日本の社会をリードしていく人たちです。その指導的地位に立つであろう人たちが、女子は自分より「学歴が低い」方がいいと考えているとしたら…… 想像しただけでぞっとします。結婚相手は自分より「学歴の低い」人を選ぶでしょう。結婚は個人の好みもありますから、それはとやかく言いません。でも、子どもが生まれたら、ここからは子どもの人生を大きく左右するので、問題になります。「息子には高い学歴をつけさせるが、娘の学歴はあまり高くないほうがいい」と考える父親になるでしょう。官庁に入って部下にくる女性は、自分より「学齢の低い」人を選ぶでしょう。企業で配下に置く女性も、自分より「学歴が低い」人です。大学教員となって指導する女性には、自分より高い学歴をつけさせないでしょう。

 こういう化石的思考の東大卒業生たちが社会をリードしていくとしたら、日本の将来はありません。ジェンダーギャップ指数はどん底に落ちて、世界から見離されます。

 女子学生お断りのサークルの東大男子学生のみなさん、いつまでも江戸時代ではありません。一刻も早く目覚めてください。おそらくみなさんは受験勉強の犠牲者なのでしょう。社会の動きや人権問題などは受験と関係のないこととして目も耳も塞いで、ひたすら東大合格のため受験勉強に明け暮れてきた、その結果の化石的思考なのでしょう。今や21世紀も20年も経った新しい時代です。1日も早く現実に目覚めて、あなたのお母さん・お姉さん・妹さん・恋人たちを、貶め続けていいのかどうか、優秀な頭で考えてください。長き眠りよりさめることを切に願っています。