
著者の小島妙子弁護士は、本サイト「お助けWAN」で法律相談を担当している。近年、「婚姻外カップルの多様化に伴い、それらの具体的な結合のあり方に即して、いかなる法的効果を、どの程度与えるべきかが今日的な問題となっている」という。
民法では内縁関係について規定を設けていなかったものの、1958年、最高裁は「男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合」として「内縁準婚」判例を示した。しかしその後、「パートナーシップ」関係にある婚姻外カップルへの「内縁準婚」理論の適用を否定する判例や、他方、同性カップルについて「内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められる」として、関係の「一方的破棄・解消について不法行為の成立」を認める判例も出ている。
本書では、内縁・事実婚とは何か。その法的規律の沿革について述べ、具体的な民法上の権利・義務について「Q&A」で詳しく説明する。さらに社会保障や税法上の問題の事例を紹介した後、婚姻外カップルの多様化が進む現在、今後のあり方をめぐる学説を紹介する。
現実は理論を越え、一歩先を歩んでゆく。家族形態が多様化する今、さまざまな選択に公平な権利が誰にも保障されるよう、的確な法的保護を基礎づけてほしいと願う。
この本では、48の事例を挙げ、「Q&A」で、わかりやすく説明する。現実の家族には、こんなに複雑で多様な形態があるんだなと、読んで改めて思う。
同性パートナーシップの登録制度を法制化する動きは、残念ながら、まだ見られないが、地方自治体レベルでは注目すべき制度が登場している。東京都渋谷区は、2015年4月、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を施行。同年11月、世田谷区は、「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」に基づき、「パートナーシップ宣誓」を行い、区が「パートナーシップ宣誓書受領証」を交付する制度を、すでに開始している。
多様な婚姻・家族の形態を認め合うこと、セクシュアル・マイノリティの人々の権利擁護が今後の課題となるなか、当事者やその子どもたち、周りの支援者が、今、まさに悩み、困っていることを解決するための、的確な手引き書となる、おすすめの一冊。ぜひお読みください。
慰安婦
貧困・福祉
DV・性暴力・ハラスメント
非婚・結婚・離婚
セクシュアリティ
くらし・生活
身体・健康
リプロ・ヘルス
脱原発
女性政策
憲法・平和
高齢社会
子育て・教育
性表現
LGBT
最終講義
博士論文
研究助成・公募
アート情報
女性運動・グループ
フェミニストカウンセリング
弁護士
女性センター
セレクトニュース
マスコミが騒がないニュース
女の本屋
ブックトーク
シネマラウンジ
ミニコミ図書館
エッセイ
WAN基金
お助け情報
WANマーケット
女と政治をつなぐ
Worldwide WAN
わいわいWAN
女性学講座
上野研究室
原発ゼロの道
動画






