
コロナウイルスからの「出口戦略」が見えてきた今、本書はソーシャルワークの出口戦略である。ソーシャルワークを援助技術だとか福祉などと言っていると日本のソーシャルワークは出口を見つけられない。仲間にそう激を飛ばしてこの本を作った。売春防止法、女性福祉では出口が見つからない。「ソーシャルワークはなぜ視野を狭め、非政治化したのか」と本書は帯に書いている。『ジェンダー・トラブル』(ジュデス・バトラー)が日本で出たのは1999年である。
20年も私たちは何をしてきたのかと、若いソーシャルワーク研究者たちを煽った責任を取って編者になり,自身は「女性福祉からフェミニストソーシャルワークへーバトラー以後に向けて」という論考に悪戦苦闘した。本書がソーシャルワークの出口戦略になることを期待している。その他の論考も紹介しておこう。
横山登志子「語られていない構造とは何かーソーシャルワークと『ジェンダー・センシティブ』」/鶴野隆浩「家族福祉論を通して、ジェンダーを社会福祉学に位置づける」/大嶋栄子「性被害体験を生きる―変容と停滞のエスノグラフィー」/宮崎理「“LGBT”とソーシャルワークをめぐるポリティクス」/新田雅子「『晩年の自由』に向けてのフェミニストソーシャルワーク―老いゆく人との女性史的実践と<継承>」/中澤香織「内面化したジェンダー規範と戸惑い、葛藤―母子生活支援の最前線に立つ援助者の語りから」(須藤八千代)。
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