西村書店の写真絵本シリーズから新刊が出ました。解説は上野千鶴子。版元の許可をえてこちらに転載します。お求めは以下へ。
新刊『男の子でもできること みんなの未来とねがい<世界に生きる子どもたち>』 国際NGOプラン・インターナショナル 文 金原瑞人 訳、西村書店、2020年7月9日発売  http://www.nishimurashoten.co.jp/book/archives/15169

西村書店からはグレタ・トゥンベリさんの『グレタのねがい 地球を守り、未来に生きる』も出ています。
  http://www.nishimurashoten.co.jp/book/archives/14575

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解説:男の子たちへ 
誰もが自由にのびのびと生きられる世界のために、キミができること

 キミは男に生まれてよかった、って思ってる?
 女の子みたいにひらひらのきれいなカッコはさせてもらえないけれど、どろんこ遊びをしても叱られないし、ちょっと無茶しても「男の子だからこのくらいは」と許される。
 DNAが1コ違うだけで、男の子と女の子は生まれつき違う、って思う? 男の子でも人形遊びの好きな子はいるし、女の子でも鉄道模型の好きな子はいる。女の子でも黒い半ズボンの好きな子はいるし、男の子でもピンクのシャツの好きな子はいる。
 なのに、男の子と女の子の扱いは、世界中どこでも、とっても違ってる。生まれたときから、「なあんだ、女か」って言われる。ちっちゃいときからお手伝いをさせられる。大きくなっても学校に行かせてもらえない。なぜって、女の子に教育をつけてもムダだから。もっと大きくなって、兄弟が上の学校へ行くようになると、働いてお兄ちゃんや弟の学費を支えなさい、って言われる……えーっ、そんなあ、って思うキミ。今の日本にはそんなことないよ、って思ってるかもしれないけど、日本だって戦争に負けるまでは、ずっとそうだった。そして世界には今でもそんなところがたくさんある。
 今だって大学に行きたくても行かせてもらえない女の子はたくさんいる。会社にも入りにくいし、入っても昇進できない。子どもを産んだら、もっとたいへんになる。  あー、女でなくてよかった、って思ってる?
 でも、この女の子たちが、いずれキミのガールフレンドになり、同僚になり、恋人になり、妻になる。彼女が幸福でなくては、キミは幸福になれない、と思わない?
 男の子だってたいへんだ。家の跡取りになれと言われるし、家族を養わなきゃ、と重荷を背負わされる。そんな重荷は投げ出して、自由に生きたい!って思うよね。
 女の子だって同じ。いっしょに育って、いっしょに重荷も分かちあって、そして喜びも共にしたらどうだろう? 重荷は分かちあえば半分になるし、喜びは共にすれば倍になる。
 人生ってわるくない。誰かと共に生きる人生は、もっとわるくない。その誰かが、キミと同じように自由にのびのびと生きられるように、キミにだってできることがある。  この本は、そのための本だ。