2010.09.14 Tue
数年前から、人びとの結びつきのかたちの一つの可能性として、「親密圏」という言葉がさまざまな分野で使われるようになった。しかし、その言葉は魅力的で個々の人生経験に通じている一方で、その言葉自体が思想史的にいろいろな意味をもつために、各分野でそれによって何かを語ろうとするとき、困難を感じた人も少なくないのではないだろうか。そんなあなたに今お勧めしたいのが、本書である。自分の問題として「親密圏」を考えるとき、かならずしもアーレントやハーバーマスを引く必要はないだろう。むしろ、具体的なあなたやわたしのあり方を見つめさせてくれる人の結びつきのあり方から何かを学んでみよう。研究と実践をつなごうとする本書の著者たちの専門分野は、政治理論、女性学、法学、哲学、社会学など多岐にわたっている。その開かれたアプローチは、新しい親密圏=「家族的なるもの」の可能性、その多様性と遍在性を感じさせてくれるはずだ。(K)
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