
フェミニズムに対するバックラッシュ後、ネオリベラリズムの進展のただなかで、「もうフェミニズムは必要ない」と主張する女性像がメディア上で流通してきた。「フェミニズムは終わった」という言説パターンを持つ思想潮流をポストフェミニズムという。フェミニズムの運動や連帯を無効化しようとする現在の言説には、保守派イデオロギーに基づくアンチフェミニズム的主張と新しく登場してきたポストフェミニズム的主張が複雑に絡み合っている。
本書では、とくにポストフェミニスト女性たちの主張や社会的態度について論じている。彼女たちは、女性として生きてきた自分の「個人的な」経験に基づいて声を上げている。発話形式こそ「フェミニズム」に反対するというものだが、自分のジェンダーを大切にし、「女性」カテゴリーの社会的イメージや解釈のされ方を問題にしている点ではフェミニズムと共通するところもある。彼女たちは「女らしさ(性別役割)からの自由」だけでなく「女らしさ(性的魅力)への自由」を希求しているということが見えてくる。
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目次
はじめに
第1部 英米におけるポストフェミニズム
第1章 ポストフェミニズムとは何か
コラムI 第三波フェミニズムとポストフェミニズム
第2章 #WomenAgainstFeminism に見るポストフェミニストの主張
第3章 恋愛とフェミニズム
第2部 日本のポストフェミニズム
第4章 バックラッシュ以後の性別役割意識の強まり
第5章 恋愛積極的態度が生み出す性別役割――「めちゃモテ」ブームの分析
コラムII 「モテ」と女らしさと外見美――「モテ」が生み出す力学
第6章 性解放の終焉?――若い世代の性行動の不活発化
第7章 現代の異性友人関係――ソフレ(添い寝フレンド)の調査から
おわりに
◆データ
書名 :フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど――ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ
著者名:高橋 幸
出版社:晃洋書房
発行日:2020年6月30日
定価 :2200円(税込)
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