例年は2日間にわたってDV被害者支援にかかわる人やDVや性暴力に関心を持つ人々が集まるシェルターシンポジウムですが、今回は世界会議があったため、1日だけの短縮開催になりました。
テーマは「WAIT NO MORE~世界基準に沿った日本DV・性暴力対策を~」
午前中は、「第四回世界女性シェルター会議(4WCWS)報告会」。
 北仲千里(全国女性シェルターネット)
 山崎菊乃(NPO法人女のスペース・おん代表理事・北海道ウィメンズ・ユニオン副執行委員長)
 松本和子(NPO法人女性ネットSaya-Saya代表理事・社会福祉士・精神保健福祉士)
 沼崎一郎(東北大学大学院文学研究科教授)
の四人で、大会の動画なども見て盛り上がりながら、台湾での世界会議の雰囲気と最新情報を日本に届けました。

第四回世界会議が2019年11月に台湾で開催されました。アジアでは初の開催でした。日本から100人を超える方が参加し、全体で世界100ヵ国から1,100人の参加者がありました。また、台湾の蔡英文総統を始め、各国の要人・キーパーソンが参加しました。なんといってもそれは、魔女(Feminist)の決起集会のような盛り上がりでした。また、対策のカタい話だけではなく、アートや演劇、ダンス、ポエムなどが盛りだくさんの大会でした。

松本「熱気にあふれていて、特に私が元気だなと感じたのはアフリカの女性たちでした。韓国の女性もそうでしたね。表現がすごくたくさんあって、やはりトラウマって話すだけではなくて、体で表現したりとか、そういったものがすごく大事なんだなと。」
山崎「私は、やはり圧巻だったのは総統の挨拶でした。総統が出てきて、「国会議員の40%は女性だよ」と言われて、国を挙げてジェンダー平等を実現していくというのを国のトップが発言するというのが鳥肌ものでした。」
沼崎「どんなに民主化して、政治がどんなに男女共同参画になっても、きっと家庭はまだ最後のとりでに残るから。こう言うと、まだまだこれからだよなと思っています。」

今回ご紹介した動画の中に、オランダの映画監督が作った、DVサバイバー女性たちのラップソングがあります。「なぜDVをするのか、私に聞かず、彼に聞け」という内容のAsk Him Whyという作品です。今回これに日本語字幕をつけて公開したところ、大反響。
多くの皆さんのご要望にお応えして、Youtubeで公開しました。(訳:草野由貴)

午後は、性暴力・性虐待について考えるシンポジウム。
テーマは「セクシュアル&リプロダクティブ・ヘルス&ライツを私たちのものに」
ファシリテーター:生魚かおりさん(NPO法人性暴力救援センター・大阪SACHICO運営委員、ウィメンズセンター大阪事務局/アロマセラピスト)
登壇者:加藤治子さん (阪南中央病院産婦人科医師、性暴力救援センター・大阪SACHICO代表)
山本恒雄さん (社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育研究所客員研究員、性暴力救援センター・大阪SACHICO理事)
雪田樹理さん(弁護士、性暴力救援センター・大阪SACHICO理事)
 性暴力相談支援の現場に来ている性暴力加害の現状、子ども性虐待問題がいかに現在の政策の中で位置づけられていないか、そして刑法改正の必要性などについて中身の濃い報告が行われました。

そして最後は、各党女性国会議員と語る議員フォーラム「世界基準に沿った日本のDV・性暴力対策を」 ファシリテーター:高見陽子さん(NPO法人性暴力救援センター・大阪SACHICO運営委員ウィメンズセンター大阪事務局)
登壇者:木村弥生衆議院議員
佐々木さやか参議院議員
大河原雅子衆議院議員
矢田わか子衆議院議員
吉良よし子参議院議員
福島みずほ参議院議員(メッセージ)
その前の性暴力・性虐待のシンポジウムを受けて、各議員が取り組もうと考えていることを発言していただきました。

詳しくは・・・シェルターネットで発行・販売している「2019年全国シェルターシンポジウム2019 in 東京 & 第4回世界女性シェルター会議(4WCWS) 報告集」でお読み下さい。東京大会の記録だけでなく、世界会議から持ち帰った情報も掲載しています。
報告集購入ページは、こちらから。