2010.11.24 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.まだ、記憶に新しい、ネット上の婚活詐欺から殺人を犯してしまった事件と、司法試験を諦めた夫を殺害した後、男友達に無実を装い電話したさいの会話のテープが公開されてしまった事件。この二つの事件にインスピレーションを受けて書かれた、劇中劇ともいえる小説です。
主人公の作家が、この二つの事件を基に小説を書く過程で、自らに近づいてきた、支離滅裂な虚飾で自らを偽るもう一人の女性に、疑心暗鬼のままに翻弄されていくさまが、肉感的に描かれます。
自らを冷静に客観視しながら、現実を取り繕うことなく、他人をだます女。あり得ない法螺や美容整形で過去を取り繕うけれども、等身大の自分についてはボロボロとホンモノを見せつけている女。そんな女たちを、胡散臭くみながらも、魅力を感じてしまい、離れ難くなってしまう女。
「明日へでも夢にでもない。欲望を満たすために/ 買ってやる/ 飼ってやる/ 勝ってやる/ 狩ってやる」
なんだか、トンデモな女性ばかりが描かれているのに、そこに、共感とも言えるような悲哀を感じてしまうのは、女性たちの多くが、見通しのきかない未来に不安に感じ、ただ今だけを精いっぱい生きているからなのかもしれない。作品のぶっとび具合に目が離せなくなり、あっという間に最後の頁まで読み切ってしまうことになるでしょう(moomin)。