
https://yurusanai-seisabetsuhatsugen.jimdofree.com/より
すでにマスコミの記事でご覧になった方も多いと思いますが、2021年3月8日に 「ジェンダーに関する問題ある公的発言ワースト投票2021」の結果が発表されました。公的発言におけるジェンダー差別を許さない会により年に一回実施され、今回が4回目です。
*以下https://yurusanai-seisabetsuhatsugen.jimdofree.com/より転載します。全文はこちらから。
・ワースト1位は性暴力被害者に二次加害をし「女性は嘘つき」という偏見を述べて女性を蔑視する杉田発言
ワースト1位の発言は、杉田水脈氏(衆議院議員)「女性はいくらでもウソをつける」でした。1995票、投票総数の33.1%を集めました。
他にもさまざまな問題発言があるなかで、特に杉田氏の発言に投票する理由として多くの方が自由記述であげていたのは、主に以下の3点です。第一に、「やっとの思いで性被害を申告した人に対してあまりにも心無い言葉だ」「性被害者を貶める意図があった」など、性被害者への二次加害を許容できないとするもの。「苦しんでいる当事者が一層声を上げにくくなる」など、性被害の当事者や社会に与える影響を懸念する声も多かったです。第二に、すでに何度もジェンダー差別発言をして批判されている(たとえば性暴力被害者に関する2018年の発言や、LGBTに対する「生産性がない」発言など)にもかかわらず、ふたたび杉田氏が差別発言を行ったこと。第三に、国民を代表する立場の女性が、女性を貶める発言をすることへの失望や怒りです。これに関連して、杉田氏の問題発言の背景に、「女性蔑視の中にあってその苦労を知っている本人が逆に差別を用いて自らは差別する側に立とうとしたようにも感じる」「女性差別を助長する発言を繰り返せば繰り返すほど、党内の信頼が高まる仕組みがあるのでは」など、所属組織内の女性差別を推測するコメントも多く見られました。
・2位は女性の発言を蔑視し牽制する森発言
2位は、森喜朗氏(東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会会長・元総理大臣)の「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさくいうんですよね」「だけど、女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」「女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困るといっておられた。だれが言ったとは言わないが」「私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ?」「7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて」「ですから、お話もシュッとして、的を射た、そういう我々は非常に役立っておりますが」などの発言でした。1216票、投票総数の20.2%を占めました。
森氏の発言に言及した自由記述の内容は多様でした。もちろん多くの方が、この発言が女性の発言の機会・権利を否定するものだということを厳しく批判しています。また、「嫌な意味でとても懐かしい」「森氏の発言と態度は私が体験してきたことにも重なり、日本全体の議会、会議、社会の『常識』とされてきたことに通じる状況」「いろいろなところで女性が遭遇する率の高い発言で根が深い」など、自分自身も類似のことを言われたという記憶を喚起する発言でもあったようです。日本社会の縮図のような発言だ、という指摘が相次ぎました。さらに、森氏が「元総理」「公的な組織のトップ」という高い地位にあり、ジェンダー平等について高い意識が求められる立場であるにもかかわらず、このような発言をしたことへの批判や失望を述べる方も多かったです。加えて、今回の発言について「発言者が最終的に辞任に追い込まれ、社会に与えた影響が大きい」「インターナショナルな影響を考えて投票した」など、発言をめぐる波紋の大きさを考慮した投票者も少なからずいました。
・3位はLGBT批判の白石発言
3位は、白石正輝氏(足立区議会議員)の「あり得ないことだが、日本人が全部L(レズビアン)、G(ゲイ)になったら次の世代は一人も生まれない」「LだってGだって法律に守られているという話になったのでは、足立区は滅んでしまう」でした。794票、投票総数の13.2%を獲得しました。同性愛者の増加への危機感を煽るこの発言に対しては、性自認を「その他・わからない」と答えた人では杉田発言を抑えてワースト1位、セクシュアルマイノリティ当事者でも森発言を抑えてワースト2位となっており、これらの人々はこの発言に対してより厳しい態度を示しています。
・「すべてひどい」の多さ:獲得票の少なさは問題のなさを意味しない
自由記述欄に記入した689人中181人(26%)が「全部ひどいのですべてに投票したい」「2票では足りない」という趣旨のコメントをしています。このことからわかるように、獲得票が少ないことは、その公的発言に問題がないことを全く意味しません。その点ご注意ください。
なお、自由記述欄記入者のうち「すべてひどい」という趣旨を述べた人の割合は、前回も前々回も18%でしたから、今年は8ポイント上昇したことになります。ジェンダー差別に反対する人々のなかで、差別に関する認識の共通性が高まってきているのかもしれません。
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