昨年まではコロナ対策優等生だったドイツですが、ワクチン接種は遅々としてなかなか進んでいません。6月からは優先カテゴリーをなくし、希望者は誰でも受けられるようにすると聞きますが、2回目の接種待ちの高齢者がまだ何万人もいるなか、そう簡単には回って来ないでしょう。
予約方法は州によっても異なりますが、バイエルンでは州のサイトに登録し連絡待ち、先月からはかかりつけ医でも受けられるようになりましたがこちらもウェイトリスト。同じ州でも、小さな町に暮らすほぼ同年齢の知人が済ませていたり、北米に暮らす友人はほぼ全員1回は済ませていたりと、焦りを覚える毎日ですが、気長に待つしかありません。
一応まだロックダウン中のドイツ。学校は、ギムナジウムや実科学校等、各学校の最終学年のみ対面授業です。これは、教育の次ステップへ進むための卒業試験が行われるためです。幸か不幸か我が家の息子たちは二人とも最終学年ですので、この間通学していました。学校では週3回、登校時に簡易抗原検査キットが配られ、生徒たちは自分でチェックします。簡易テストはワクチン接種後も定期的に行うことが奨励されており、無料検査会場がさらに増えました。スーパーなどでも400円程度で購入することができます。うちの近所の薬局でも無料検査を行っているので、別に購入する必要はなかったのですが、興味本位で1つ試してみました。結果はネガティブ。毎日にこうも変化がないと、こんなことでもちょっとしたイベントになります。
私のほうも、学校に関わっています。執筆以外に、数年前からオンライン語学教室で日本語を教えているのですが、多い時で1日5、6時間人と話すので、隔離生活中の精神衛生的に良かったと思います。生徒さんは世界中にいますが、大半は日本在住で、緊急事態中多少の制約はありつつも比較的自由な生活を送っているみなさんのお話が羨ましくもあります。欧州や北米その他の生徒さんと話すときには、必然的にお互いの国のコロナ状況交換となりました。
語学学習においてはやはり、日常の出来事を語ることも多いです。初級A1レベル程度の学習者の時は、例えば動詞の活用(現在形・過去形)の練習をしたりするのですが、パンデミック中面白かったのはその練習が……
私:「今日は何をしますか」
生徒:「ワインを飲みます」
私:「明日は何をしますか」
生徒:「ワインを飲みます」
私:「昨日は何をしましたか」
生徒:「ワインを飲みました」
と……例文にまったく深みが出ない! なぜなら毎日に変化がないから!
ある生徒さんとは、理由を述べる「から」の練習で、「コロナですから」が、すっかり内輪のジョークとなってしまいました。
「何もしませんでした。コロナですから」
日本のみなさん、海外のコロナ生活こんな感じです。
さて、ロックダウンですっかり化粧気は無くなりましたが、それでもこのオンライン教室のおかげでBBクリームとマスカラくらいは毎日つけています。パンデミック中は、1、2泊の短期旅行というものがまったくなくなってしまいました。ビジネストリップはOKでも、不要不急の移動やレジャーは許されていません……抜け穴はあったのかもしれませんが。このパンデミックで学んだことの1つは「正直者はバカを見る」。ロックダウン中でも、うまく楽しんでいる人は楽しんでいるのです。私はといえばバカみたいにルールを守り、あるいは規制が緩い時でもアジア人差別などで不愉快な思いをしたくないので家にこもっていたら、あっという間に一年以上が過ぎてしまいました。
そして、日本から持ってきた化粧品のサンプルパウチも、徐々に自宅で使い切ってしまうようになりました。こちらで化粧品の見本というと、せいぜいクリームやファンデーションくらいしかありません。クレンジングや化粧水のパウチはほぼ手に入らないので、短期旅行や出張用にいつも大事に取っておいたのです。
逆にこちらではファンデーションの見本などは、自分で容器を持っていってそこに分け入れてもらうこともできました。(ただコロナ禍で衛生面を考え、自由に試せる見本をやめたところも多いようです)。パンデミック以前のあるとき、某有名メーカーのファンデーションのサンプル数種をパウチでくれるというのを広告で見ました。喜んでもらいに行ったのですが、サービスする方はもちろんドイツ人。パウチを3つ4つ重ねて、バスッと一気にホチキス留め……もちろん、あいた穴から中身が漏れ出て……ああ……。
日本のみなさん、ドイツ生活こんな感じです。