特別非営利活動法人子どもセンターぬっくは、2016年4月に子どもシェルター『ぬっくハウス』を開設し、虐待や貧困等で家庭に居場所のない10代後半の女子の支援を続けてきました。この5年間でのべ115名(2021年3月末現在)の子ども達を受け入れ、単身自立のサポート、親子間調整、終了支援、退居先の調整等をおこなってきました。また、2020年4月には『自立援助ホーム』Re-Co(りこ)を新たに開設。1年間で8名の子ども達を受け入れました。

Re-Coの開所は、新型コロナウイルスの流行・自粛要請とほぼ同時でした。新たな生活をスタートするぞとドキドキしながらも入居してきた子どもたちが、自立に向けてアルバイトを探そうにも求人はめっきり少なくなっています。入居しているのは主に高校生なので、シフトに入る時間がどうしても限られてしまい応募しても応募しても採用されないことも。運よく採用されても、飲食店の時短営業のあおりをまともにうけてしまい、月初めはある程度シフトが入っていたのに緊急事態宣言が出たらシフトがすべてなくなってしまった、という子どももいました。新型コロナの影響でバイトができなくなった分、子ども達が自由に使えるお金は少なくなります。Re-Coに入居するときに、手持ちのお金がほとんどない、という子どもも多くいます。手持ちのお金があったとしても、今後の自立を考えた場合、使わずに貯金しておかないといけません。WAN基金を使わせていただき、Re-Coに入居している子ども達に1ヶ月3,000円のお小遣いを渡しました。自分の楽しみのためにお菓子を買ったり、ちょっとした雑貨を買ったり。最初は「欲しいな」と思うものを購入し、次のお小遣いを待つ、といった感じでしたが、月を重ねるごとに今度のお小遣いで○○を買おう、と計画的に使っていく子どももいてうれしかったです。

ぬっくハウス・Re-Coの備品などの購入にもWAN基金を活用させていただきました。休校に備えてすでにパソコンは購入していましたが、プリント類を印刷することもあったためプリンターを購入。ぬっくハウスでは、施設の特性上外出が制限されていることもあり、CDを聞いたり、本を読んだりすることが多いのですが、各個室に備え付けているCDラジカセが軒並み壊れてしまったため、新たに購入。Re-Coでは、衣類のハンガーや収納用品、ナイトランプなどを購入。自分の身の回りを清潔に、快適に整えることは、簡単なようでいて実はなかなか難しいのかもしれません。子ども達の心が荒れている時は、部屋も同じように荒れていることが多いです。ほっとする場所を提供することで、そういった力を少しでも身に付けて欲しいなと思っています。

コロナ禍という誰も経験したことのない未曽有の事態の中、子ども達もスタッフも必死で頑張ってきました。そんな頑張りにWAN基金が寄り添ってくれました。ぬっくへ来る子どもたちは、居場所がありません。ただ単に寝る場所、生活する場所がない、というだけでなく、社会にも自分の居場所がない、と思っている子も多くいます。WAN基金をいただいたことで、子ども達が自分を応援してくれている人の存在を実感してもらえればうれしいな、と思います。
今後もぬっくは活動を続けていきます。どうぞ今後もご支援&ご協力のほど、心よりお願い申し上げます。