WANネットの皆さま、基金への寄付者の皆さま、助成先として認定NPO法人いくの学園を選んでいただき、ありがとうございます。おかげさまでコロナ禍においても、支援活動の根幹である電話相談とシェルター運営を変わらず継続することができました。
はじめての緊急事態宣言時(2020年4月)は、相談機関を含めて多くのところが休止となりました。そんな中、電話相談を続けられたことは本当によかったです。「今すぐ暴力から避難したい」という人だけでなく、暴力を離れてもその後遺症により生きづらさを抱え、ひきこもりになっている相談者もいます。電話のつながる先が減って、以前にも増して孤立と不安に苛まれているという声を聴きました。
いくの学園は3年間、暴力の後遺症からの回復をめざす人のために通所施設を運営していましたが、コロナによる休止期間を経て再開の見通しがなく、2020年7月末で閉所となりました。シェルターを退所した人の来所相談やフードバンクによる食品の提供も休止し、ボランティアの活動も減りました。このように活動の規模は全体的に縮小されましたが、電話相談とシェルターという原点への立ち返りを大事にしています。
コロナ禍におけるDV被害の深刻さを背景に、内閣府が立ち上げた「DV相談プラス」(https://soudanplus.jp/)があります。民間団体のシェルター運動のうねりがDV防止法を成立させ、20年の間にDVの社会的認識もずいぶん進みました。そのような状況を背景に「DV相談プラス」という、相談者にとって柔軟性のある全国的ホットラインが展開されたことは心強い限りです。
いくの学園では、多言語・多国籍・LGBT・男性・障害・若年女子と、相談者の状況が多様化しています。夫から暴力を受け、シェルターに避難を求める女性、もしくは、母と子が、想定される相談者の中心でしたが、それが大きく変わってきています。
いくの学園は、大きなうねりの中の小さな団体ですが、小さな団体だからこそ可能な、「今求められている、民間だからこそできる支援」について、他団体・機関と連携しながら自分たちにできることは何か、模索しています。
啓発活動も大事な取り組みです。一例をご紹介しますと、2020年4月、京都コミュニティ放送ラジオカフェの番組「KYOTO HAPPY NPO !」に、いくの学園の副理事長・髙坂明奈弁護士が、きょうとNPOセンター、近畿労働金庫の方と一緒に出演しました。コロナ関係の定額給付金は、暴力や虐待によって住民票の住所に住んでいない人も受けられるようになったので、諦める前に早めに相談することを促しました。日本のDV防止法は「配偶者」からの暴力が中心で、性暴力や親きょうだい等からの暴力への対策はまだまだ限定的です。配偶者に限らず、多様な暴力被害者の状況に対応した支援制度が充実するよう、いくの学園も働きかけをしています。
※上記、ラジオ番組収録時の写真は許可を得てラジオカフェのホームページから転載しています。収録された番組も視聴できます。画面に映っているのは、髙坂明奈弁護士、真ん中に座っているのは近畿労働金庫の中須雅治さん、左に立っているのは、きょうとNPO センターの平尾剛之さん、その右隣は京都コミュニティ放送の太田航平さんです。
http://radiocafe.jp/200310001/episodes/2020-4-26oa/
なお、近畿労働金庫の社会貢献預金「笑顔プラス」の寄付先のひとつとして、いくの学園が指定されており、単なる寄付を受け取るだけでなく、一緒に社会活動にも取り組んでいます。大阪府の「女性に対する暴力をなくす運動」関連の企画を、近畿労働金庫・連合大阪・いくの学園が共催で実施しています。ラジオカフェの出演も、近畿労働金庫につないでもらったという経緯があります。
いくの学園ホットライン・相談電話
TEL 090-9629-4847
毎週水曜日(祝日休)12時~17時
https://ikunogakuen.org/
2021.10.03 Sun
タグ:DV・性暴力・ハラスメント / DV / コロナ