
男女雇用機会均等法が施行されて2年目の1987年に国語教師として働き始めた私が、その後、法律や社会福祉を学んで考えたことは、「人権」を理解するためには「個人」を理解しなければならないということ。ところが日本では、「家」や「世間」というものがまとわりついていて「個人」が見えづらい。そこで「実存」という視点で考えてみてはどうか。「実存」として一人一人がかけがえのない存在であることを自覚すれば、自分らしく生きられるのではないか。お互いに尊重し合える社会をつくれるのではないか。「実存」としての本当の言葉を紡ぎだせば、自分を取り戻すことができるのではないか。自己と他者との対話がうまれ、民主的な社会をつくれるのではないか・・・そのような思いで書いたのがこの『文章表現ノート』です。
様々な詩や文章を読み、自分の心に現れた現象を言葉で表現することによって、意識の内側から「人権」や「福祉」を理解していこうという試みです。それは読者のみなさんとの共同作業です。様々な気づきを体感し、言葉を紡ぎだすことによって、自分を取り戻し、「実存」として連帯していきませんか。私たちはみんな、基本は「おりとりさま」なのですから。
自分らしく生きていきたいと考えている方、福祉を学ぼうとしている方、この本を読んで一緒に考えてみませんか。
読書会や哲学カフェで、この本を読んで人権について考え、福祉社会について語り合ってみませんか。
文章力をつけたいと考えている学生さん、せっかくですから、あなたの本当の言葉を紡いで、あなた自身を表現する力を身につけていきませんか。
そして今、様々な環境で苦しんでいる方、自分が大切な存在であることをこの本から感じとって、一緒にがんばっていきませんか。
「そう、あなたは大切な存在。大丈夫、今、心に浮かんだその言葉、そう、その言葉を言ってみて」という私の声を、行間から感じとっていただきながら、あなた自身の言葉を紡いでいっていただければ、と思います。
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