
「老い」をどう生きるか? どうすれば介護の不安を解消し、子どもの人生を巻き込むことなく死ねるのか――。
母親の闘病と死から老後の自立を考え、「理想のホーム」を探して五年に亙り約百か所の老人施設を取材、そこで暮らす人々の肉声を聞いて回った渾身のルポルタージュ。現在の「終活」ブームの先駆けとなった名著が、16年の時を経て復刊。
元気なときの住み心地のよさと広さ、そして要介護になったときの安心良質な介護。この二つが有料老人ホームの青い鳥である。
両立する有料老人ホームを求めて、俵さんは懸命の遍路をつづけるが、なかなか理想のホームには到達しない。まあここなら、と思うところは、俵さんといえども価格に息を呑んでしまう。
ふつうのサラリーマンの老後はどこに居所を定めたらいいだろう。
――――「解説・ついのすみかの青い鳥」樋口恵子
俵さんのお母さんが倒れたのは、介護保険が始まる四年前。介護生活七年半のうち、後半は、「介護保険がスタートし、目いっぱい介護保険のお世話になった」と俵さんは書くが、それでも実態はこうだった。
「母にはもうひとつの選択肢として〝おひとりさま〟の生活を貫くという生き方があったのではないか。……が、介護保険だけでは絶対にやっていけない。結局、弟の妻が介護を補完した」
日本の家族介護は、嫁の強制労働で成り立っている現実を、それが介護する側にもされる側にも大きな不幸をもたらしていることを、俵さんは痛感していた。
――――「新装版解説・老人ホームに入りたくないこれだけの理由」上野千鶴子
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