ゲスト:渡邊洋次郎さん
  (1975年、大阪府生まれ。介護福祉士。現在、依存症回復支援施設の職員。)
日時 2021年11月2日(火) 16時30分~18時00分
会場 桜花学園大学 嶋守研究室
制作 桜花学園大学・ウィメンズアクションネットワーク

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フェミニズム・リサーチ・ライブラリは、嶋守さやか(WAN会員)と渋谷典子(WAN理事)が「フェミニズムを次代へつなぐ」をテーマとした研究成果を動画で配信するものです。「この人に、この人の『フェミニズム』を語っていただきたい!」と嶋守・渋谷が熱望した方々のお話を、インタビュー形式でうかがっています。

第8回は、渡邊洋次郎さんをお招きして、『下手くそやけどなんとか生きてるねん。』(現代書館、2019年)について、「薬物・アルコール依存症から回復した当事者」としてお話いただきました。インタビューの前半のテーマは、薬物・アルコール依存症から回復した当事者の渡邊さんが、「幼少期から抱えていた寂しさと怒り」です。

中西正司・上野千鶴子(2003)は、「ニーズを持った時、人は誰でも当事者になる。・・・中略・・・ニーズ(必要)とは、欠乏や不足という状態からきている。私の現在の状態を、こうあってほしい状態に対する不足ととらえて、そうではない新しい現実を作り出そうとする構想力を持ったときに、初めて自分のニーズとは何かかわかり、人は当事者になる。」(中西・上野2003『当事者主権』岩波新書、pp.2-3)としています。

渡邊さんは、自分にとっての愛着対象(親をはじめとする重要な他者)が提供する心地よい安定や保護が保障された「安全基地」を持てずに幼少期を過ごしてきたと言います。「五歳まで言葉が出てこなかった」という渡邊さんは、衆目や関心を自分に向けさせるために「行動」で自らを誇示していました。その根底には、寂しさと寂しさを感じさせる社会への怒りがありました。前半は、そうした幼少期の渡邊さんの「寂しさと怒り」についてお話をうかがいます。