
早いものでもう2月ですね。
ヨーロッパはオミクロン株が落ち着きを見せ始め、収束を待たずに各種規制を撤廃する動きにありますが、これからピークを迎えるであろう日本は各種規制もますます厳しくなり、窮屈な思いをされているのではないかと思います。
私も実は年末から帰国しておりまして、つい2週間前ドイツに戻りました。ドイツ帰国は拍子抜けするほど簡単で、ただフライトも空港もそこそこ混んでいたので念の為セルフ簡易テストも2度しましたが、陰性。それで3度目のワクチンも無事に終え、今回も見事に副反応なしで、とりあえずいろいろ落ち着いた感じです。
さて、海外から帰国時の隔離もすでに短縮されたようですが、私は水際対策が最も厳しい時期に帰国し、思い返すといろいろと貴重な体験ができたような気もしますので、忘備録代わりにまとめてみることにしした。こんなことも、どなたかの役に立つかもしれませんので。
まず帰国を思い立った心境について。昨年の10月11月ごろ、世界はトラベル緩和に向けて動き出していました。私は2019年夏より帰国しておらず、以降2人きりでいる両親の健康(おもに脳)が心配されたため、これ以上間を開けるのは不可能なように思われました。それで、思い切って帰国を決意。当時の規定では「自宅で10〜14日間の隔離」でした。それが11月末、まさかのオミクロン株勃発。一部で感染爆発しているに過ぎないドイツが危険地域指定され(これについてはサタデーステーションでも説明させていただきましたが、政治的コメントはすべてカット)、ホテル隔離がゼロ→3日→6日と、ほんの1、2日で変わってしまいました。日程変更も考えましたが、延期しても状況が良くなるとは限らないこと、両親をこれ以上放っておくのは気が引けたことから、予定どおり帰国することを決意しました。
外国人の入国は禁止され、帰国邦人に対しても「こんな時に帰ってくるのはおかしい」という論調でした。しかし、「こんな時」はもう2年も続いており、今回帰国を予定した人の多くは、上記のとおり世界が国境を開くのに合わせて予定を立てた、どちらかというと「ルールを守ってきた」人たちだと思われます。皆さんそれぞれの事情がありますでしょうし、旅程の変更はとても大変です。それで腹を据えて決行されたのでしょう。それを裏付けるかのように、12月19日の私の帰国フライトはなんと満席でした。
こりゃ完全に感染すると思いきや、羽田空港での検査は陰性、その後同便から感染者が出たとの連絡もありませんでした(この時期「濃厚接触者」の定義が拡大されており、もし同便からオミクロン感染者が出たら、計2週間の施設隔離となる可能性がありました)。空港での6〜9時間待機も報道されていましたが、すべての手続きがスムーズに進み、私たちは羽田到着後2、3時間ですべて終えられました(ただし、成田では1月に入ってからも6〜9時間の待ち時間が報告されています)。
そもそも、こういう流れ作業って得意なんですよね、日本人。「このピンクの紙持って3番に行ってくださ〜い」みたいな。まるで免許の書き換えのときのような。完璧にオーガナイズされているんですが、各行程で10〜20あるブースの係が全て「若い女性」というのは、非常に異様に映りました。もうちょっと進んで、追跡アプリの使用説明のあたりになると、今度は「若い女性」が「日本語ペラペラの外国人」に置き換わります。ちなみに、ほぼ同じ書類を3度も書かされてイラッとしましたが、ワクチン接種に関しては自己申告のみで、接種証明を一度も要求されなかったのですが、これも不思議でした。同時期に帰国した人も皆同じことを言っていますので、私の時たまたま聞き忘れた、ということでもなさそうです。ついでに言うと、いい加減国際舞台で和暦を使うのはやめていただきたいです。それから、到着後に検査場までの2キロ以上をぐるぐる歩かされるのも、感染防止の観点でどうかと思いました。
検査の結果が出て、諸々無事に済ませると、やっと外に出られます(この時点で、名古屋や福岡への転送はなさそうだと分かります)。ここでもグループで待たされ、一緒にバスに誘導されますが、バスに記載されているのは「ホテルE」のみ。案内でも、「神奈川県のホテルにお送りします」と言われるだけで、まさにミステリーツアーの様相です。
とはいえ、次第に横浜に向かう景色を見て、なんとなくどこのホテルかは予想できました。私たちの案内されたのは、みなとみらいの某ホテル。私は16歳の次男と一緒でしたが、13歳から別部屋可能と言うことで、本人に希望もあって別部屋にしてもらいました。通された部屋はセミダブルベッドと部屋の幅がほぼ同じと言う極小さ。子供と同室ならもっと大きかったのでしょうか。でも、歯ブラシやスリッパが2対ずつあるところを見ると、これが2人部屋のようです。流石にここで16歳の息子と6日間を共にするのは無理だったでしょう。
チェックインとともに渡された体温計で、ホテルの健康管理サイトでの報告と、国指定のMySOSでの報告が始まります。件のホテルは社長が外国人嫌いでそれ関係の本が部屋に置かれていると聞いていましたので、ちょこっと探してみましたが「幸い」そのような本は見当たりませんでした。ていうか、ビジターを迎え入れるのが基本のホテル業でそれはないでしょ。
そして隔離中の最大の関心ごと。それはもちろん、ご・は・んです。
結論から言うと、私のホテルのご飯は、ものすごく美味というほどではありませんでしたが、和・洋・中それなりに変化に富んでいて、美味しくいただけました。ただ日本のお弁当らしく炭水化物過多、しかも私は食べ物、特に米粒をどうしても残せないたちで、毎回きれいに完食、さらに部屋はラジオ体操もまともにできないほどの狭さ……ということで、1週間で見事に体重増加してしまいました。
この、お弁当関連はホテルによって本当に違うようで、そもそも本稿を執筆しようと思ったのも、フランクフルト日刊紙日本特派員の投稿した写真を見たからでした。(なぜ私たちはこんなにしてまで弁当の写真を取るのか……ええ、他にすることがなかったんです)。こちらのお弁当は揚げ物多め(+ほぼ毎食サケ?)、とってもとっても美味しそうですが、毎日だと飽きちゃうかな? 関西で高級ホテルに隔離になった友人は、毎回生野菜サラダがついていたと喜んでいました。
余談ですが、日本人以外は朝ご飯にサラダはあまり食べないんですよね。以前カナダはケベック人に「なぜ日本人は朝サラダを食べるのか」としつこく聞かれたことがあります。逆に、日本からドイツにいらしたお客様がホテルの朝食にサラダがないとよく文句を言われますが、あの、ない方が普通です……。もとい、私のホテルは朝ご飯だけはちょっといただけなかったです。味は悪くなかったのですが、見た目が機内食そっくりで……。なので、朝ご飯だけは写真に撮りませんでした。
6日目に2度目のPCRテストで陰性の場合、いったん羽田に戻され、そこからハイヤーで移動となります。約1週間で4回ものPCRを受けている私たちこそ最も陰性なはずなのに、公共の交通機関が使えないというのは意味がないように思います。実家が都内の私の場合まだいいですが、他府県の場合、このせいで帰国を断念される方もいるでしょう。
移動後はMySOSから居場所確認が日に5回入ります(最初の頃、慣れずにちょっと取り損なったりすると、まるで犯罪者扱いの感じの悪いメッセージが来たりします)。さらに1週間の自宅隔離を終え、晴れて自由の身となりました。
自由期間より隔離期間の方が長くなってしまいましたが、それでも友人に会え、行きつけの店(全てコロナ禍を無事に生き残ってくれていました!)に行けました。ほとんどの店に「マスクケース」なるものが備え付けられていおり、相変わらずこの日本のガジェット文化の発展の速さに驚きました。ただ、入店時のワクチンチェックもなく、形だけの手首検温、さらに店内での追跡アプリもなく……というのは、正直ちょっと居心地が悪かったです。さらに店内では「黙食」奨励という……。ヨーロッパでは食事は会話を楽しむためのものでもあるので、これは無理だなと思いました。感染爆発のヨーロッパからの意見など説得力ないでしょうが、やはり入店時にワクチンチェックや追跡アプリチェックインを徹底(実際に、同日同時間帯に店内にいた人で感染者が出ると連絡が来ます)し、店内では普通にできる方がいいなと、私は思いました。飲食店に大きな負担となる時短なども必要なくなるのではないでしょうか(こちらにも現在時短はありますが、夜10時で飲酒もOKです)。
ワクチンは完璧ではないし、追跡アプリにもプライバシーの問題などが常にあります。ただ言えるのは、現時点でそれ以上の方法がない以上、皆で協力し合って順守していくしかないということです。あの何ヶ月ものロックダウンという共通の記憶を持つヨーロッパでは、もう2度とロックダウンを繰り返したくないという共同意識のようなものがあり、それがいわゆる「ウィズコロナ」へと向かわせているのでしょう。
感染状況では桁違いなのに、なぜか日本の方が窮屈で、ヨーロッパの方が普通の生活に戻っている気がするのでした。そもそもの厳しい水際対策にしても、「必要な時間を稼ぐ」目的があったと思いますが、その割には対応がもたついています。上記のように、多くの国々がパンデミック初期のように全てを「止める」やり方とは反対の方向に動いています。各方面から抗議が上がっているように、日本の鎖国政策も不必要で非人道的に思われます。
最後に、日本ではモデルナ忌避のためブースター摂取が滞っていると聞きます。私の場合ファイザー・ファイザー・モデルナでしたが、他種混合の方が効果が強くなると昨年からも言われており、私も可能なら2度目にモデルナを受けたかったくらいです。どんなワクチンでもほぼまったく副反応の出ない体質なので、副反応を心配されるお気持ちについては何も申せませんが、どなたかがおっしゃったように「一番最初に受けられるワクチンが最良のワクチン」です。世界のワクチン格差が広がる中で、3度目を受けられるというのはありがたいことです(さらに、オミクロン株においても、ブースターを受けている方が死亡率が格段に下がるとのことです)。
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