食べものは、私たちが命をつなぐために欠かせません。実は、その食べものの8割が、家族農業によって生産されていることをご存知でしょうか。気候変動への対策や生物多様性の維持のためにも、農村社会の活性化のためにも、家族農業が果たしている役割がいま世界的に高く評価されています。国連は、2019~2028年を国連「家族農業の10年」と定めました。
拙著『家族農業が世界を変える』は、全3巻のシリーズを通じて、貧困・飢餓(1巻)、環境・エネルギー問題(2巻)、社会の多様性(3巻)について学び、私たちの毎日の食卓から持続可能な社会への移行について一緒に考える絵本です。本書は、小学校5年生以上を対象として、豊富な資料とイラスト、写真を用いて、これらのテーマを分かりやすく解説しています。
林業や漁業、子ども食堂、ジェンダー問題などの各分野の専門家によるコラムも掲載しました。ジェンダー問題のコラムでは上野千鶴子先生にご登場いただき、「オンナが子どもを産んで育てる気になれる農業」にしていくことで、農業の未来が展望できるとの本質的なアドバイスを頂きました。
本書を読めば、今日の食と農がどのような課題に直面しているのか、なぜ家族農業が持続可能な社会にとって重要なのか、これからどのような方向を目指せばよいのかが見えてきます。読み終わると、世界の見え方が変わっているかもしれません。
筆者は、2014年の国際家族農業年のために国連の報告書を執筆したことをきっかけに、2019年に日本で市民社会団体「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン」(FFPJ)を有志と設立しました。未来の食と農、そして新しい社会をつくって行く子どもたちと、その子どもたちを応援するすべての人にむけてエールを送るために、本シリーズを執筆しました。学校や地域の図書館で、ご家庭でぜひお読みください。
◆書誌データ
書名 :『家族農業が世界を変える』(1~3巻)
著者 :関根佳恵
頁数 :各巻とも32頁
刊行日:2021/10/7(第1巻) 2021/12/17(第2巻) 2022/3/11(第3巻)
出版社:かもがわ出版
定価 :各巻とも3,080円(税込)