2011.08.16 Tue

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おじいちゃんの手

訳者など:マーガレット・H. メイソン ()

出版社:光村教育図書

 表紙の絵には、まだスニーカーのひもがうまく結べないような男の子と、それを教えているおじいちゃんの姿が、柔らかですが奥深いクーパーの絵で描かれています。二人は黒人です。  読み始めると、おじいちゃんが孫に、自分の手がどんなに使える手だったかを、まるで自慢しているように語っているほほえましい風景が続きます。  どんなに速くきっちりとロープを結べたか。どんなに軽やかに鍵盤を叩いて音楽を奏でたか。どんなに鮮やかに変化球を投げたか。  しかし、パン工場で働いていたおじいちゃんの手が使わせてもらえなかったのは、パン生地を扱うこと。黒人の触ったパンを白人は買わないという理由で。  こうして絵本は鮮やかに、人種差別の歴史を現場から描いていきます。  クーパーの絵は、ドローを練り消しゴムで消すという手法だそうです。この絵のタッチも見逃せません。子どもたちにも、絵の表現方法の自由なやり方を伝えてください。

カテゴリー:人権 法律 政治 / ノンフィクション 歴史 / 芸術 / ひこ・田中の、 子どもの本イチオシ

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