2012.06.30 Sat
福島で〝ものづくり〟をしている女性たちからの緊急メッセージを、連載でお伝えしています。
第2回は福島在住のグラフィックデザイナー のぐちくみこさん。
のぐちさんから、
国も、産業界も、マスコミの一部もが、この夏、電気が足りなくなっ
たら、私達の生活はどうなるか … と毎日のように迫ってきます。
ドイツやイタリアのように、なぜできないんだろうと思います。
声が届かないと、あきらめたり … いやいやがっかりしないで
声を上げることが大事なんだろうな … と強く思ったりしています。
というメッセージをいただきました。
のぐちさんが日々の暮らしを綴る「うさちゃん奥州日記」の抜粋から、福島の実情をお伝えします。
2011年の「うさちゃん奥州日記」はこちらから
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2012年06月17日 川で何がおきてるのか
家のまわりで、郭公の声が聞こえて、うれしいですね。
最近は、できるだけ放射能関係の記事も見ず、
考えない ように過ごしてきました。
体調もすぐれなかった事もあって…。
でも、先週NHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図・川で何がおきているのか」を久しぶりに見ました。
半年にわたって調査した結果、家の近所のため池、酒蓋池と
荒池が、桁違いの高い数値の汚染で…愕然。
セシウムは、まわりの住宅から流れ、集まり、ヘドロとくっついて、まわりの空間線量をあげてるようです。
公園の土を削っただけでは、ぜんぜんダメだったんですね…。
獨協医科大学の木村真三さんが、詳しく測定してくれてました。
近くの住民にも説明をしてました。
小さい子供がここに住み続けていいのか…住民達が、不安を訴えてるのは
当然の事。でも、市に言っても、なかなか行政が動いてくれなくてね。
木村さん。大変だけど、あきらめずに、行政に働きかける事!を
強く言ってましたね。
池に住んでる住人、カワセミ、コサギ、カイツブリ、カルガモ、
寒い国に帰った渡り鳥達…の事を思うと、胸が痛みます。
木村さんは、違う所で、セシウムはもう40センチも深く入り込んでる…
とも話してました。
その話を4月に聞いて、畑の除染を業者さんに見積もりとったのですが、
(5センチ土削る)やめました。
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2012年02月29日 学校の除染
2月中じゃないと、市からの補助が使えなくなるという事で
急きょ、中学校のまわりの道路の除染をやる事に。
27日と28日の2日間やりました。
業者さんにも頼んで、水で洗いながら吸い取る方法での除染。
去年11月には、町内で道路の除染もやりましたが、もっと
全体をやらないと、下がらないのが現実。
学校も、側溝そうじや大きな樹を切らないと下がらないんですが…
500万もかかるそうで。
自主避難の親や子供に、プラス20万づつという追加の賠償問題に
さっそく波紋が広がってるようです。
テレビで、若いお母さんやお父さん達が言ってましたね。
小説家の玄有さんも、お母さん達の不平等感が広がって
分断につながる…と懸念してました。
除染が終わり、帰れるようになっても、帰りずらい状況を、
かえってうむんじゃないかな…。
お金より、まず帰れる環境にしてほしいです。
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2012年02月10日 安全?安心?
先日、県主催の?「安全、安心フォーラム」を聴きに行った。
何が安全?安心?と思い、行くのも迷いつつ…。
後半、食品と除染に分かれて、私は除染の方に参加。
時間がたりない位の、ものすごい質問がとびかう。
「もっと世界中から英知を集めて、除染できないのでしょうか?」
との質問に専門家は、
「企業から200位の提案があり、20位しぼって実験した中で、
これというのはないのが正直な所…」らしい。
高圧洗浄機に関しては、効果なしと。
「各家庭ででた放射能は、各敷地内の自分の家から遠い所に埋めて下さい
と言いますが、隣の家のすぐ下になるんですが…埋める時も見られるし
…どうしたらいいか。」
「埋めて、その上から土をかければ大丈夫です。」
近所の方が、食品に参加してて、
食品の方は、県外の人との結婚の話題にもなったようで
パネラーの方の知るかぎり、2件破談があった…と。
それにしても、こんなゆっくりな除染計画では、みきりをつけて
県外へ行く人達、続出ですよね。
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2012年02月01日 最近の生活
子供の積算線量の結果が、平均の倍という高い数字。
野外活動なしなので、家の中が高いという事。
この近辺の一戸建ては、同じ値で、親達は同じ悩みや不安をもって
生活しています。
マンションは、低いからと、借りて引っ越す方も。
寝る時だけ、借りたマンションに寝にいく家庭も。
除染は早くて秋。もしくは、来年という役所の話で、
家も、いろいろ捜してます。
以前は、テーブルの生活でしたが、今はできるだけ天井から低い
こたつの生活にかえました。
たったこれだけでも、数字が違います。
後は、窓や壁から離れて、できるだけ真ん中での生活をしてます。
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のぐちくみこさんは、郡山市を拠点にイラスト、絵本制作、パッケージデザインなどを手がけています。
のぐちくみこさんの作品についてのお問合せやメッセージは、awan@wan.or.jpまでご連絡ください。
福島で〝ものづくり〟をしている女性たちからの緊急メッセージ①はこちらから
福島で〝ものづくり〟をしている女性たちからの緊急メッセージ③はこちらから
(構成:A-WAN すずき)
カテゴリー:アートトピックス