2012.11.11 Sun
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.Carmen Rial(カーメン・リアル)
The professor, The Department of Anthoropology, Federal University of Santa Catarina
(サンタ・カタリーナ ブラジル国立大学 人類学部教授)
私の同僚で友人である竹村和子さんの逝去を聞いたのは、パオラ・バッチェッタ(カリフォルニヤ大学バークリー校)からの電子メールでした。パウラはこう書いています。「すばらしいフェミニストであり、クイア理論家、翻訳者であった竹村和子さんが2011年12月13日にこの世を去りました。東京のみならず世界に架橋する人で、あたたかく寛大な人でした。彼女がバークリーに居た一年間、彼女の仕事に直接かかわったことの楽しさを思い起こします。その一年間、和子さんとたまに訪れる貴代美さんが私の隣の家屋に住んでおりました。和子さんが自らの学問と人生をもって触れた多くの人にとってなんという喪失でしょう」。
和子さんを適切に述べる言葉は研究者として「とても優しい人」と言えます。これは2009年に私がバークリーに到着して彼女に初めて会ったときの印象です。大学でベアトリース・ベイン・研究グループ(BBRG)の研究者会合がありました。私はスーツケースを部屋に掘り込んだままバロウ棟に駆けつけました。その一年間は、研究者たちのほとんど(J・アダムス、L・フォントン、E・ヘクナー、L・ヘンボルト、M・L・フェミニアス等がいました)はコーヒーをすすり、議論に熱中したものです。私は、既知のアルゼチンの哲学者であるフェミニアスと和子さんしか覚えていません。なぜ和子なのか?彼女が会合で言った言葉なんかではなく、和子さんが、片手に自転車を押し、もう一方の片手に黄色のヘルメットを持って、親切にも校内を案内してくれたからです。1968年5月に最初のデモがおこなわれた歴史的スポット、スプラル棟に連れて行ってくれました。「ここでバラク・オバマがスピーチしたのよ」と言いながら、その前にあるチケット売り場で演劇を見るためのチケットを買いました。私たちはすぐに仲良しになり、これが短いながらも強い知的むすびつきを持った友情の始まりでした。それに続く週はたびたび会いました。時にはパオラの家でのディナーだったり、BBRGのレクチャーだったり、ドライブだったりしました。2009年3月21日の日記にこう書いたことをおぼえています。「ここの家の書架にトリン・H・ミンハの書いた本を見つけた。それには竹村和子さんが長いインタビューをしており、ミンハの多様な側面を際立たせている。これを読んで、今回のフロリアナポリス市での国際学会(Making Gender)の基調講演者としてトリンを呼ぼうというアイディアが浮かんだ」4月28日に和子さんはバロウ棟で講演をしました。長く詩的なオープニング紹介がトリンによってなされ、それにはトリンが和子さんと持ってきた友情と学問的業績への尊敬があますところなく示されていました。講演のテーマは「Violence-Invested (non) Desire: Global Biopolitics Phallomorphism & Lethal」と題され、コピーが回りました。[訳者河野注:省略。ただし内容は近刊の『彼女は何を見ていたか―映像表象と欲望の深層』(作品社)を参照]
私たちは、和子さんが英知のフェミニストであり、現代世界で起きていることのすばらしい批評家であったことを忘れません。それにもまして、彼女は、ちょっとしたコーヒーにも冒険への招待にも簡単に応じる人でした。彼女と一緒に列車でスタンフォード大学を訪れ、ミシェルに案内されました。また和子さんが興味を持っている反ポルノの活動家、ゲイル・ルービンの講演を聞きにサンタ・クルーズ校へも行きました。和子さんは美しいルート1の車道を私にみせてくれてそこでは太平洋海岸の風が迎えてくれました。アメリカのフェミニストの本当の恐竜に会いに行くのだと私たちは笑ったものです。驚くことに、ルービンは、完全な自己諧謔として、恐竜の絵のネクタイをして現れたのでした。
和子さんは貴代美さんが来るのを、日を数えて待っており、着いた当日、私たちはレストラン、ルイジアナで食事をしました。その後しばらくして、私はお二人をブラジルの南部、フロリアナポリス空港で迎えることになったのです。この国際学会(Making Gender)で和子さんは討論グループの一人でした。和子さんと貴代美さんは旅行のとき南アメリカで買ったカラフルな夏ブラウスを着て満面の笑顔で飛行機から降り立ちました。私は会議の基調講演を引き受けてくれたトリンをも待っていました。励ましてくれた和子とパウラに感謝です。
会議での和子のスピーチは”Diaspora, Sexuality and Becoming Something Non-Existent”と題され、サンタ・カタリーナ国立大学の大会議室でおこなわれました。和子の講演はすばらしいものでした。ポルトガル語でFronterias de Genero (Boundaries of Gender (ed. Mulheres, 2010)として発刊されています。
和子から来た最後のメ-ルをご披露して終わりにします。[訳者河野注:省略東日本大震災の問い合わせへの返事]
翻訳者 河野 貴代美
Sun, 13 Mar 2011 11:21:28 +0900 |
Hi Carmen,
Thank you so much for your kind concern. Kiyomi and I are both OK, and my friends and students from the northern part of Japan as well as their families are fine, I have heard. But so many people are killed and injured, and still missing. The earthquake and tsunami, which occurred in tandem on Friday, was so devastating and ferocious, and we still–even here in Tokyo–feel afterquake many times. Moreover, a dander of meltdown at two of the atomic plants is now worried about.
As for me, I am now hospitalized for a removal of fibroid. Don't worry. I am OK. The main aftermath of the earthquake is for me that it might cause a delay of my surgery, which is to be scheduled for tomorrow, March 14th. But, if so, the operation will be made on Thursday, at latest, the doctor said. It might not be so good timing for undergoing surgery.
I hope that sufferers and victims are rescued, medicated, and supported as soon as possible and in a full scale, and also that such an awful thing as a meltdown never ever happen!!
I'll keep you posted.
カーメンさんの原文は、こちらから読むことができます。
カテゴリー:竹村和子さんへの想い