「ジェンダー平等」がSDGsの目標に掲げられる昨今、大学では関連の授業に人気が集中し企業では研修が盛んに行われているテーマであるにもかかわらず、いまだ差別については「思いやりが大事」という心の問題としてのみ捉えられることが多いのが、残念ながら実情です。

 なぜ差別は「思いやり」の問題に回収され、その先の議論に進めないのでしょうか。 本書では、女性差別と性的少数者差別をめぐる現状に目を向け、その構造を理解し、制度について考察します。

 三浦まり先生からは、「あなたの人権意識、大丈夫? “優しい”人こそ知っておきたい、差別に加担してしまわないために――。価値観アップデートのための法制度入門!」と帯推薦コメントをいただきました。
「思いやり」から脱して社会を変えていくために、いま必要な一冊です。

 なお、第3章「『女性』vs.『トランスジェンダー』という虚構」では、いまSNS等で「女性スペース」問題を切り口に分断が起きている状況について論じ、おもにシス女性とトランス女性との対立構造を「虚構」としてとらえたうえで、この問題を考える視座を提供します。ぜひご覧ください。

◆目次
第1章 ジェンダー課題における「思いやり」の限界
第2章 LGBTQ課題における「思いやり」の落とし穴
第3章 「女性」vs.「トランスジェンダー」という虚構
第4章 ジェンダー課題における制度と実践
第5章 LGBTQ課題における制度と実践

◆書誌データ
書名 :差別は思いやりでは解決しない ジェンダーやLGBTQから考える
著者 :神谷悠一
頁数 :224頁
刊行日:2022/8/17
出版社:集英社
定価 :902円(税込)

差別は思いやりでは解決しない ジェンダーやLGBTQから考える (集英社新書)

著者:神谷 悠一

集英社( 2022/08/17 )