女として、男として生きる上で出会うちょっとしたもやもや。もやもやが何か解き明かしてみたいけど、それって「フェミニズムみたい」で抵抗あるかも。フェミニズムってちょっと怖い。そんな方もいらっしゃるのでは。
でもこの本のフェミニズムは、日常生活の延長線上にあるような、やわらかいフェミニズム。「怖い」って思われてる皆さんに、ほんのちょっとだけ、怖いもの見たさでもいいので、こんなフェミニズムと出会ってみてほしいです。思ってたとおりかもしれないし、思いもよらぬものかもしれない。もやもやのこと、ちょっとわかって、知らない世界や自分がちょっと見えてくるかもしれない。
一方、すでに、「わたしフェミですよ」、って方々も、日々、闘い続けておられるなか、そもそもフェミニズムって何だろう、と感じることってないでしょうか。答えが無い、ともいえるし、答えがありすぎる、とも言えるような。誰かのフェミニズムとわたしのフェミニズムが合わなくって、なんか、しんどいときもある。だからこそ、答えが無くてもいいじゃない、って、少し肩の力を抜いたフェミニズムもいかがでしょうか。
この本で描かれているのは、そんな、「やわらかいフェミニズム」。でも、芯の通ったフェミニズム。
個人的なことは政治的なことだけど、まず生きること、出会うこと、そして自分が自分でいられるための何か、として。
一章では、違和感を持った経験を踏まえた上でのフェミニズムについて、二章では、さまざまな形で出会った差別について、「『差別してはいけない』という一面的な視点では」見えてこないことを「それぞれの人の感情体験を共有すること、対話すること」で考える営みを綴っています。
続く三章では、いわゆる戦後の第二波フェミニズムど真ん中世代から、現在の若い世代に向けてのメッセージを(「せやろがいおじさん」のお母さまのインタビューもあります!)、四章では、私たちが目にしているこんなところにもフェミニズム的な女同士の絆が!ということで少女マンガやテレビドラマの持つシスターフッドについて、五章では、フェミニズムやフェミニスト・カウンセリングと出会って「自分が自分になれた」経験を、そして六章では、各章を執筆した「シスターフッドの会」のメンバーが、フェミニズムの難しさ、希望、これからのフェミニズムについて自由に語り合っています。
『やわらかいフェミニズム』には、自分自身、差別、男女、世代、親子、そして現在。さまざまなテーマが散りばめられてます。よろしければぜひ、直感で何かを感じられた章から、自由にお読みいただければと思います。
【目次】
はじめに(河野貴代美)
第1章 モザイク模様のフェミニズム(荒木菜穂)
第2章 差別する/差別されるという個人的体験
1 自分の物語から(河野和代)
2 在日朝鮮人三世という存在(高秀美)
3 差別について(河野貴代美)
第3章 次世代との交流におけるフェミニズム
1 インタビュー 子どもには自分の人生を生きてほしい(小川真知子)
2 インタビュー フェミニストも子育ては試行錯誤(加藤伊都子)
3 アメリカで起きていること(ゴードン美枝)
第4章 少女マンガやテレビドラマに描かれたシスターフッド(小川真知子)
第5章 自由に、闊達に、謙虚に生きる
1 私が私になることと対男性との関係(河野和代)
2 女性たちはどのようにしてフェミニズムと出会うのか(加藤伊都子)
3 出会いを求めて(河野貴代美)
第6章 執筆者座談会 やわらかいフェミニズムの体験
◆書誌データ
書名 :やわらかいフェミニズム:シスターフッドは今
編著者:河野貴代美
頁数 :252頁
刊行日:2022/9/22
出版社:三一書房
定価 :1980円(税込)