2011.11.22 Tue
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 個人の「生きづらさ」はいかにして「社会問題」となるか、逆にいかにして「社会問題」ではなく「個人の問題」「ごく一部の特殊な人たちの言い分」などとして抑圧され否定されていくのか。私の一番の研究テーマです(社会学をやっています)。
今回、『〈脱・恋愛〉論 「純愛」「モテ」を超えて』(平凡社新書)をまとめました。思えば、私にとっては、恋愛や結婚も「生きづらさ」を感じてしまう対象であり続けてきました。既存の制度のなかに型通りはめ込まれていくような居心地の悪さ、違和感がつきまとってしまいます。
誰もが当たり前に恋愛して結婚するという状況ではなくなっている今、他方で、一人で生きていくことの難しさがますます明らかになっている今、私たちはどのようにして他者と共に生きていくのか。この大問題をめぐってあれこれ考えてきたことを書きました。
ひとつできてよかったなと思うことは、昭和初期の『婦人戦線』から、「貞操の経済学」「恋愛の経済学」「性生活の経済学的観察」など、松本正枝の議論を紹介できたことです。
曰く、経済的弱者としての女性が食べていくには、 自ら「男性化」して働くのでないかぎり、男性に養われるしかない。そこで女性の経済生活は「その性生活の対象である男性によって左右される」。女性は自分の生活を守るための選択として結婚(男性に「貞操を捧げる」)せざるをえない。
その結果、お金のあるところに結婚は成立し、ないところでは恋愛、結婚、性からの疎外が生じる。
松本正枝は、そんな社会、結婚と恋愛、性と金の関係、女性の生き方にはっきりと疑問を投げかけました。
同時代の著名な女性たちに比べて今ではあまり知られていない人かもしれませんが、彼女の問題意識は現代にもいまだ通じるものがあるのではないでしょうか(著者 草柳千早)。
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