エッセイ

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それでもやっぱりフェミニズム~「排除されてない感」の先にある「つながり」への、心地よい面倒くささと希望(2) 荒木菜穂

2011.12.26 Mon

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*脱「排除されてる感」としての女のつながり
そんなための女のつながりって、(社会から)「排除されてる感」を引きずったものではあってはならないと思います。「女だからわかるー」は、ワタシ的には、そういうの引きずりまくっている感があるので。そこに共感があっても、同情とか傷のなめ合いみたいなのは、わたし的には「女のつながり」じゃない。

女を個人として尊重しない社会自体を「しょうがない」と諦め、別に個人としてあなたは尊重されなくてもいいよね、でも不幸なのはかわいそうよね、みたいな感じで、「女である」以上の個人としての私は「どうでもいい」みたいな感じで、わたし的には、「排除されてない感」そのものは全然感じられない。

考えるべき、「社会の中の絆から排除されてきた、という一つの経験」に目を向けるなら、まずは、やっぱり、「排除されてない感」を共有することはまず必要なことなんじゃないかなと思います。例えばそれは「受け入れられている感」ともちょっと違って、そういう一方的な施しみたいなんじゃなくって、(学問的にそういう表現が合ってんのかよくわからないけど)、承認と相互承認の違いみたいな感じ?共感もしてもらわなくていいけど、まずは個として向き合いあうための「排除されてない感」。

だから、この社会に人間として参加する立場にある「あなた」と「私」との関係、じゃないと「女のつながり」じゃない。私が、ほんの微力ではありますがフェミニズムの活動に関わってる理由には、そういう、人と人との「排除されてない」感が心強く、それを前提としたコミュニケーションがとても心地よく(時にはココロが血を流すけどそれさえ心地よい)意義深いからだと感じるということがあります。

*メディアの中の「排除されてない感」は流行と一致?
そんな「排除されてない感」、どんな感覚かと一応例を挙げて説明ぽいことをしてみると、例えば娯楽とかメディアの中でフェミとして自分がエンパワーされるなあと思うものっていろいろあるけど、その根拠っていうのも、この「排除されない感」なんじゃないかなあと最近感じています。例えば、女同士が協力し合う、ココロが通じ合う、とかのわかりやすく女のつながりが描かれたものの中でも素敵だなあと思うものもあるけど、それはあくまで「排除されてない感」の一例に過ぎない、みたいな。

それほど、ちょっとしたメディアとか娯楽の中に、ジェンダーに限らずだけど、「排除されてる感」ってのはウジャウジャあるってこと。「排除してる」ほう(私だってそういう立場にいくらでもなってると思う)は意識しないだろうけど。ロックとか結構好きでそれなりにこだわって聴いてたりするけど、女である自分はこの中では標準的なリスナーではないんだろうなあ、女を楽しんだり馬鹿にしたりする歌詞や歴史を見てみぬふりしながら、ってことも多かったりで。

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.で、「今さら感」もありますが、少し前に、とりあえず流行ってるからといってたまたま見たレディ・ガガ。彼女のPVなんて、結構「排除されてない感」に溢れてて、思わず見入ってしまいました。フェミと呼応しそうなものでは、あらゆる差別を無くそうというBorn This Wayが有名だけど、これも本当に、教科書的じゃない「人権論」って感じで、なかなか良いなあと思います。

正しいこと、個人を尊重すること、そんなんは人間の本音じゃないって言う人もいるけど、生きる上での本音としてこういう気持ちがあっても全く不自然じゃないなあと感じます。ビヨンセとの共演のTelephoneも、映画のテルマ&ルイーズとかベーゼ・モアに似てる感じもあるけど、正統派な女のつながり的でエンパワーされます。男性はこういうの見て「排除されてる感」ってあるのかどうか知らないけど。まー、「排除されてる感」に文句言うより、「排除されてない感」を楽しむほうが生産的って私も思うようになったし、願わくば、そういう男性諸君もヒステリックにガガを批判したりしないで欲しいと思うけど(笑)。

歌詞とはあんまり連動してないみたいだからそれはちゃんと意識してないけど、そのほかのPVも、男との関係以外で欲望を実現させる女、という印象で、すごく「人間としての女」を感じる良作だと思う(フェミ的な見方をした側面でわってこと)。Alejandroでは、軍隊とゲイがテーマだとは思うけど、男を見て欲望する女、というモチーフもあるように思うし、Judasでは聖書に出てくる娼婦マグダラのマリアを主役にして男中心的社会を暗に批判(いろんな解釈あると思うけど)?、Beautiful, Dirty, RichLoveGameでも、終始、(男の対象物でない)女の主体的欲望が描かれてるように思う。対象化され価値付けされる女(というかビジネスそのものへのメッセージだろうけど)を相対化して描いたBad Romanceも、力強く街を歩くThe Edge Of Gloryも、You And IMarry The Nightみたいな少し内省的になった最近のPVも、とても、女というよりは人間らしい。体型も結構変化はあるけど、初期のEh, Ehとか、男好みのスレンダーやセクシーとかじゃなくって親しみの持てる体型で、さらにはそんなに美人とかなじゃいような女友達と仲良くお茶したりしてる様子がすごく可愛いし愛しく感じる。脱ぐのなら男好みの体型じゃないと許さん、とか言う男性もいるかもしれないけど、ごめん、あんたも私もどうせ同じ「自分の好み」にすぎないわけだし、許さんとか言われてもねえ(そもそも勝手に想定してすんません笑)。

*「人間としての女」、の時代へ
フェミニズムのサンプルとしてガガさんを見たら、そりゃ突っ込みどころもいっぱいあるんだろうと思う(実際、発言とかエピソードとか知らない情報も多いし)。でも、「人間らしい女」という表象は、私が大事にしたいフェミニズムにとって必要な感覚である、「排除されてない感」に結びつく。

とはいえ、お気づきかと思いますが、昔のロック以外あまり聴かないので最近の女性アーティストの曲もPVも全然知らず、そのせいで、たまたま見て、こんなに自分的に「快」だったんだ、と気づいたというだけの話で、もう女性アーティストてほとんどこんな感じだよ、とか言われてしまうかもしれませんが(そしてそうだったらもちろん嬉しい)。強い女が男に勝つ、みたいなわかりやすくフェミなのか、それか、男に媚びる、恋する女みたいな、貧困なイメージしか女性アーティストになくって、本当に反省です。音楽的にそこまでよく知らないけど、ガガさんみたいに、こんなに、フェミ的にエンパワーされるアーティストが流行しているって、そこまでメッセージが届いていないにしろ、一応はうれしいこと。

世の中情けなくなること、悲しいことも多いけれど、それはそれで解決に向けて頑張るとして、実際フェミがそこかしこに転がっているのを拾っていくのも、もっともっとしていっていい作業なんじゃないかなと感じます。もっとも、カミール・パーリアは相変わらず、あんなの単なるマドンナのパクリとか言ってるらしいし、ガガ自身も、男嫌いなわけちゃうし私はフェミと違う、とか言ってるらしいけど、「排除されてない感」それで十分。

*「排除されてない」感は、つながりの、全てのコミュニケーションのスタート地点
「排除されてる」感を脱し、排除されてない感、を大事にしながら、生きていくことは、人として最低限必要なことなのではないか、と私は思っています。他人を、その社会的文脈まで考えながら知ろうとし、想像力を働かして向き合い、コミュニケートすること。

自分と他人が異なる人間である以上それは必ず失敗するから、そのときにどう尊重の気持ちを持ってフォローしあうかという終わりのない「つながり」の作業は、大変なライフワーク。同じ方向を向いて、あまり社会のいろんなことなんかを考えず、「絆」を大事にしていくことより、ずっとずっとしんどいはずだし、だからこそ無意識に避けられてしまうのかもしれないなあとも思います。

「排除されてない」感がある場所、それがエンパワーで、そこから、人をグループ化し、なんやかんや社会のしくみが作られていることを、グループ化された「女性という立場」(バリエーションはあり)から考えることができると思う。

だから、何を指して女のつながりというか、というのは、共通の経験、感情、価値観、そんなの無理だから、私の中では、「排除されてない感」、「人として尊重し合う感」「その上での性別をとりまく社会を意識する感」の共有をもって、女のつながり、と位置づけたい(!)。わかりあえなくったって仕方ない。だってそこはコミュニケーションのスタート地点に過ぎないから。「排除されてない感」さえも、人によって捉え方が違うから、「排除されてる感」、「排除されてない感」それらを、なぜそう感じるのか、話し合う機会が持てること。

フェミニズムもそうじゃなきゃいけないと思うし、「いわゆるフェミニズム」が何だかはこの際どうでもよくって、私の中のフェミニズムはそういうもの。さらには、「話し合い」なんて民主的な皮をかぶってるくせに、その実「立場が弱い」人だけに説明の責任が求められたり、なんてことは絶対しちゃいけない。要するに、「それ以前の話」が今実現できてない。そういう社会に生きる中で、自分への反省も含め、最近思うことです。








カテゴリー:女同士のつながり / シリーズ

タグ: / フェミニズム / ジェンダー / メディア