
”エンパワーメント・シェルター”の実践を継承するために
本書は、1993年に、確認し得た限り日本で初めて、当事者が中心となって暴力被害女性のシェルターを開設・運営し、やがて、全国の民間シェルターのネットワーク化の担い手の一角となって、「DV防止法」の制定過程に働きかけを行っていった「AKK女性シェルター」の活動記録です。
そのシェルター活動は、当事者主導であったほか、回復支援機能を含む“エンパワーメント・シェルター”とも言うべき実践でした。また、シェルター活動からシェルターのネットワーク形成へ、そして法制定過程への関与へという、点から面への活動展開は、エンパワーメント・プロセスそのものと言い得るものでした。
本書は、こうした「AKK女性シェルター」の活動を、1990年代の日本の女性運動の典型的事例と見、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の施行を来年に控えたいま、再評価され、継承され、発展的に活かされていくに値する活動として記したものです。
内容は次の通りです。
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Ⅰ章「DV/シェルター」前史―女性に対する暴力への気づき
1 「アルコール問題を考える会(AKK)」に参加した女性たち
2 女性が暴力に気づき社会問題化
3 シェルター設立を目指して
4 1970年代DV離婚問題」として提起される
Ⅱ章 当事者によるシェルター運動―「AKK女性シェルター」の開設と活動
1 開設
2 シェルター運営
3 活動
4 シェルター閉所と活動の展開
Ⅲ章「女性へ暴力・駆け込みシェルター・ネットワーキング」設立から「DV防止法」制定へ
1 日本の女たちのシェルタームーブメント
2 初の大会、さまざまな立ち位置の支援者が全国から集まる-第1回大会「女性への暴力・駆け込みシェルター・ネットワークキング―札幌シンポジウム」1998年
3 DVへの対策を「大会アピール」で決議-第2回大会「全国女性シェルター・シンポジウムinにいがた―ストップ!女性・子どもへの暴力」1999年
4「DV防止法」につながった要望書「女性に対する暴力の根絶を目指して」を決議
-第3回「全国女性シェルターネット2000年東京フォーラム〈私の生はわたしのもの〉-女性と子どもに対する暴力の根絶をめざして」2000年
5 サバイバーの声、命を守る法律を-「被害者の人権を守るDV防止法を!-サバイバーは発言する」2000年
Ⅳ章 エンパワーメントで読み解く「AKK女性シェルター」の活動展開
1 エンパワーメントについて
2 「AKK女性シェルター」の活動展開に見るエンパワーメント
3 「AKK女性シェルター」活動過程を書き記す意味
「AKK女性シェルター」関係年表
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暴力被害女性の支援関係者、「ジェンダーに基づく暴力」や日本のフェミニズム運動、あるいはエンパワーメントに関心をお持ちの皆さま、ぜひご一読ください。
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◆書誌データ
書名 :『「AKK女性シェルター」から「DV防止法」制定へ: 1990年代フェミニズム・当事者主体の女性運動』
著者 :波田 あい子、 内藤 和美、 亀田 温子
頁数 :144頁
刊行日:2023/7/4
出版社:かもがわ出版
定価 :1,650円(税込)
慰安婦
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