2012.02.19 Sun
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本書では摂食障害から回復した18人のインタビューとその分析が行われている。本書が摂食障害を扱った多くの著作と異なるのは、摂食障害の原因を探るのではなく、かつて摂食障害だった人たちがどのようにそこからの回復を語るかというところに焦点を当てた点である。著者によれば、彼ら/彼女らの語りを大枠でとらえた場合、「強い痩せ願望の緩和」と「食生活の改善」(一定量の一般的な食事をするようになる)という二つのプロセスを伴っていたという。けれどどのようにその過程を認識し語るかは人さまざまである。
著者はこうした分析を通し「摂食障害という状態が何に由来するのか、なぜ維持されがちなのか、どのように回復がもたらされるか、という一連のプロセスを考えた場合、〈還元モデル〉のように遠い要因や真相の原因を遡及的に推測するよりも、まずは、いまのこの状態を組織している行為の具体的な連鎖に目をやるべきなのではないか」と主張する。そこにはみずからの身体とそれを取り巻く世界との折り合い方を一つに限定することなく、いくつもの語り(言葉による認識の仕方)を提示することによって摂食障害からの回復の可能性を拓こうという著者の願いが込められている。(lita)
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