
「思えば91歳。ヤレ、長く生きたものです」と巻頭を笑顔で飾り、老いのトップランナーを自任しているとおっしゃる樋口さん。ヨタヘロしつつ、ボケつつこの本を、老いに向かう皆さまの心を、少しでも共有する道標になればと上梓された。「かつて―60代、70代の頃に思っていた90歳と、実際になってみた90歳はまるっきり違うということ。体の面であれ人間関係であれ、想像していたのとはかなり違います。」と樋口さん。
「思っていた90歳はまるっきり違う」とは、どう違うのか。
実際になってみて「!?」とうろたえるより、ここで知識をつけておいたら、あらかじめ覚悟できる。「そうそう、これこれ、樋口さんが書いてたとおりね」「あら、わたしも」と参考になれば予防にもなる。
『私には、上野千鶴子さんという勝手に目標としている十六歳年下の論客がいます。(中略)上野さんは、「おひとりさまの老後はだれにでもやってくる」と言っていますが、そのとおりだと思います。』(p.158)と、『第6章 91歳、本当は「ひとりでも大丈夫」じゃない』のなかで語る。おひとりさまの老後はだれにでもやってくるけれど、本当はひとりでも大丈夫ではない、と樋口さん。
あれあれ、それは困り事!?ズバリ、上野さんとのスペシャル対談『BB(貧乏ばあさん)でも慌てない。今から準備できること』のなかで「何ができるか」が語られている。
ボケすぎない暮らし方を脳科学者からほめられ、ヨタヘロ期の終の住み処を84歳で建て替えた樋口さんから「高齢者よ、大志を抱け!大夢を画け!」「夢に年齢制限はありません」とエール。
だれにでもやってくる老後に、役立つヒントが照らしてくれる。
■堀 紀美子■
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