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ジュリエット・ショア 『プレニテュード 新しい〈豊かさ〉の経済学』

2012.03.17 Sat

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 世界はBAUからSUSへの大転換の時代を迎えています。

BAU(business as usual)とは、従来通りのやり方の意味で、成長優先・大企業中心・エネルギー多消費の経済運営を続けることです。

SUSとはsustainabilityの意味で、労働時間を短縮し、再生可能エネルギーを拡大し、人間と地球への負荷を減らして持続可能な新しい〈豊かさ〉を創出することです。

ジュリエット・ショアの新著は、この転換が経済危機と環境危機を同時に乗り越える道であることを説得的に示しています。

ショアがBAUに対置するSUSは絵に描いた餅ではありません。

それは、脱石油社会への移行を目指したトランジション・タウン、太陽光を夏は防ぎ冬は取り込むパッシブソーラーハウス、植物を垂直空間に茂らせる壁面緑化や垂直農園に例をみるように、すでに実生活で広がっています。同様に、財・情報・サービス、乗用車、自転車、住宅、農機具、機械工具、土地・水・資源などの共同利用で現に広がりつつあるシェアリング・エコノミーも、SUSを志向しています。

ショアによればBAU経済は、人びとの経済生活を市場の内部に閉じ込め、巨大企業に経済活動を集中させ、働きすぎを強め、中小企業や自営業の衰退を招いてきました。これをSUS経済に転換する鍵は、働きすぎと浪費をなくすことにあります。

労働時間の短縮が進めば、家族の触れ合いや、地域住民の交流や、近隣同士の助け合いが促進され、人びとは家庭内生産や小規模生産にも時間を割き、市場の外に経済活動を拡げていくようにもなります。それゆえに時短は、ショアが「プレニテュード」と呼ぶ新しい〈豊かさ〉への第一歩にほかなりません。

日本では大震災と原発災害を機にBAU経済が地域を衰退させ環境を破壊してきたことが厳しく問い直されています。そういう日本でこそ広く読んでいただきたい警告と希望の一冊です。(監訳者・森岡孝二)








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タグ:脱原発 / / 経済