第2期WANフェミニズム入門塾の第7回講座が2024年2月15日(木)に開催されました。
今回のテーマは「表現とメディア」。講座生2名が自身の言葉で書き上げたレポートで、
当日の講座の様子が少しでもみなさんに伝わればと思います。


第7回 表現とメディア 受講レポート   D.S

今回の講座のテーマは、「表現とメディア」です。このテーマにふさわしく、
テレビ局で実際に働いていた方からテレビメディアの現状と絡めて10分間レポートが
スタートしました。

テレビ局に関わる様々な調査データから、圧倒的な男社会、放送産業の斜陽化に伴い
求められる価値観のアップデート、それでもなくならないハラスメントやメンタル疾患問題
についてレポートされました。また、出演者やアナウンサーの年代別男女比データを交え、
表現の送り手側の偏りの問題の指摘がありました。

「公正や公平」を標榜し、人々に様々な視点から真実を伝える役割を担うテレビという
メデイアが、未だ対応に苦慮するジェンダー意識やコンプライアンスの問題が
現場の実感を交えて語られていたこと、また、そのうえでも、これらの問題を乗り越え
今後のテレビメディアへの期待がレポートされており、素晴らしい時間となりました。

レポート後に分科会や全体ディスカッションを行い、参加の皆さんから様々な想いや
考えが語られるなかで、私が興味をもったのは、番組のジェンダー公正に関わる
コンプライアンスチェックの話でした。

レポーターの方から、番組の内容や構成について、セーフとアウトの明確な基準はいまだなく、
個別具体の場面で判断するのは番組の責任者によるところが多いという話がありました。
ただし、責任者のジェンダー意識の有無によっては問題に気づかないことも多く、
他のスタッフからの相談や指摘を受けて問題に気づくことも多いという話が印象的でした。

また、これらの話し合いを受けて個人的に気になったことがあります。

これまで培われてきたジェンダー意識に基づく人間の営みは、そこに参加する人々の姿が
あるとすれば、当然、女性らしさ、男性らしさという文脈で感動のシーンが想定できます。
誰でも共通に体験しているこれらの事象を切り取り、物語を演出することで得られる
インパクトは強くなるため、市場での受け入れを考えれば、メディア側のコンテンツが
そこを狙うのは当然のようにも思えます。それでも、これまでの文脈を強固にするような
表現はやめるという選択を行う、行わないの基準や線引きをどう持つべきなのか?

こういった新たな問いが生まれました。


第7回 表現とメディア 受講レポート   MY

マスメディア業界では、給料の振込先銀行口座が2つ、3つあるのが慣行となっていた
という話には大変驚いたと共に、伊藤詩織さんの事件を思い出しました。
加害者のTBSのY氏も、もしかしたら、銀行口座を複数持っていたのかもしれないと
勝手に想像すると、伊藤詩織さんを絡め取った構造が一層炙り出されます。
金と力を持つ者と持たない者との非対称な構造に落とし込まれたのは、
伊藤詩織さんのみならずではないでしょう。

そして、その非対称な構造が、マスメディアに働く人の半分近くを女性が占めるようになれば、
少しは是正されるのでしょうか。一般社員のみならず、管理職をも女性が半分を占めるぐらい
になれば、女性は、少なくとも、Invisible minorityではなくなるので、仕事上の立場や
金に任せての、女性に対してやりたい放題、好き放題のオヤジの振る舞いは、少しは
是正されていくのかもしれません。

しかしながら、ミソジニーに根ざすようなコンテンツが制作されるか、どうかについては、
管理職をも女性が半分を占めるようになったとしても、オヤジに同化した女達をも
制作に関わってくるでしょうから、数の上での平等のみならず、フェミニズムを
理解している女性の増加が最も肝心であるのを、日々の暮らしで時に出くわす、
オヤジの価値観を血肉化した、若い世代の働く女性の姿から、私は思わずには、
いられません。

ましてや、上野さんがおっしゃったように、『斜陽産業だと女性が入ってくる。』
という中、斜陽産業のマスメディア業界に参入する女性達の頭の中は、どれぐらい
オヤジなのか、そうではないのか、固唾を飲んで見守りますし、それゆえ、
『フェミニズムを伝える』というWANの活動の大切さを感じ入ります。

その一方で、林さんの動画の中で示されたデータは、フェミニズムを伝えていく上では、
私は悲しいものに思えます。
例えば、日本は、他国と比較して、ニュースについて語る人が少ないというデータ。
また、『ハードニュースよりも、ソフトニュースが好きだ。』というデータ。
それを、林先生は、『ハードニュースよりも、ソフトニュースが好きだ。』と答えてしまうが、
本当はそうは思っていないという『規範意識』のようなものが、日本人には
あるのではないかと言うけれど。。。
更に、その一方で、マスメディアに対して、人々は、『どうでもいい存在、
頼りにならない存在、遠い存在。』 と感じているとのこと。

これが、人口の半分を占める、日本の女性達の多くの姿である可能性は高いと、
私は考えます。すなわち、多くの日本の女性は世の中に対しては、無関心で、
他人事と思っている。そして、おそらく、フェミニズムに対しても・・・・。
男達には何の期待もしない私ですが、フェミニズムの当事者であるはずの女性達とは、
世の不条理を語り合わないければならないと、私は思っているので、この状況は
大変残念でなりません。

しかし、絶望するつもりはありません。なぜならば、私は、このWANフェミニズム入門塾で
出会う方々の瑞々しい感性、伸びやかさ、しなやかさ、そして、しぶとさから、
変化を起こす力を感じるからです。私たちはまだまだ負け続けるかもしれませんが、
それでも、時には私達の考えるところが、受け入れられる事もあるはずです。
大切なのは、私達は消耗し尽くさないように、お互いを励まし合い、褒め合い、
笑い合い、悲しいこと、面白かったことを語り合い、いい顔になることだと思います。
そんな私達の姿こそが、女性達を分断しようとするオヤジ社会に対しての一番の抵抗だと
信じています。と、力が入る中・・・・まずは、私は、WANの2024年の会費の支払いを進めます!!


☆関連サイト☆
・【選考結果メールを送りました】 WANフェミニズム入門塾 第2期生を募集します!
  https://wan.or.jp/article/show/10511

・第2期WANフェミニズム入門塾【動画を見て話そう】 第1回「リブとフェミニズム」レポート
  https://wan.or.jp/article/show/10718

・第2期WANフェミニズム入門塾【動画を見て話そう】 第2回「フェミニズム理論」レポート
  https://wan.or.jp/article/show/10801

・第2期WANフェミニズム入門塾【動画を見て話そう】 第3回「性役割」レポート
  https://wan.or.jp/article/show/10865

・第2期WANフェミニズム入門塾【動画を見て話そう】 第4回「権力と労働」レポート
  https://wan.or.jp/article/show/10915

・第2期WANフェミニズム入門塾【動画を見て話そう】 第5回「母性」レポート
  https://wan.or.jp/article/show/10959

・第2期WANフェミニズム入門塾【動画を見て話そう】 第6回「セクシュアリティ」レポート
  https://wan.or.jp/article/show/11074