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むしろ男性が自分の問題として読んだ方がいい『下流の宴』林真理子

2012.04.24 Tue

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.新聞連載のとき、毎日楽しみに読んでいた。基本的には、勝ち組か負け組、上流か下流か、に拘る人々の悲しさを描いた物語だと思う。ただし、そこで顔が見え主役となるのは、主に女性たち。自分の育った家、自分の夫次第で決まる「勝ち負け」を、常に気にして生きている母娘。その一方で、「勝ち負け」なんて気にせず生きる息子とその恋人の女性。

しかし、「下流」ポジションにいたはずの息子の彼女が、ひょんなことから医学部を目指すことになり、最終的に合格。甲斐性のない男と結婚したことを嘆く「上流」意識の母、やり手の起業家と「できちゃった婚」で結婚に扱ぎ付けたが夫の鬱で生活が一変してしまった娘とは裏腹に、息子の彼女の将来は有望に。上流と下流は逆転。

ただ、その一方で、息子は、医者を志す彼女についていけず、結局二人は離別。女は、男と番うにしろ、一人で生きていくにしろ、不幸になる、という女の哀しみの物語のように読むこともできる。でも、それって、「女の幸せは好きな男性と結婚すること」みたいな価値観で読んでしまうことでもあり、見方を変えれば、男なんかに頼らず一人で生きていくのが、変化しないこの時代でかろうじて女が幸せを掴む方法、という風にも読める。

結局、出てくる男は、情けないのばかり。社会に揉みつぶされ、家庭内の問題も解決できず、彼女の成功も最終的には心から喜べない。目立った登場人物は女性ばかりだけど、このあたりの男性の描かれかたこそ、男性が読んで、不快に思ったなら建設的な批判をしてほしい。そのとおりだ、男性は哀しいね、だから女性たち、優しくしてね、じゃなく、自分たちの置かれている社会の問題として思い巡らしてほしい。様々な場で女性の生き方をめぐる問題は多々語られても、それを男性の生き方とセットで考える場が少なすぎるように感じる。そのためにも、男性にこそ読んで欲しい本だと思う。林真理子の本ってフェミ的に賛否あるかもだけど、これをきっかけにちょっと読んでみようかと思った。(robierobie)








カテゴリー:わたしのイチオシ / robierobie

タグ: / 男性性 / 男性学 / 林真理子