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家事労働のテクノロジー化は女たちを解放したか? 『お母さんはいそがしくなるばかり』 ルース・シュウォーツ・コーワン(高橋雄造訳)

2012.06.12 Tue

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アメリカ合衆国の家事労働とそのテクノロジー化についての社会史。はたして家事労働のテクノロジー化は女性の家事から解放したのだろうか?

 原著は約30年前(1983年)に発表されたものだが、今読んでも説得力をもつ。工業化が進むにつれ、家事労働が市場経済に巻き込まれ、テクノロジー化されていくなかで、かつては女性、男性ともに係わっていた家事労働から男性は解放され、女性が専従者となっていく。粉を買うのが一般的になると、穀物はもうみずから挽く必要はなくなり、ストーブの普及によって、燃料は燃料販売店から購入するようになる。男性は粉挽き場に通う必要はなくなり、まき割りの仕事もなくなった。

 ところで粉が容易に買えるようになると、今度はこれまでよりも手の込んだパンやケーキを週に何度も焼くことが、洗濯機が普及するとシミひとつないシャツを家族に着させることが主婦のつとめになっていく。本書ではそれがいかに戦略的に女性雑誌などによって主婦の美徳と結び付けられ、それに従わない女性たちには罪の意識が植え付けられていくかが明らかにされている。

 ある程度の清潔さは必要だけれど、誰かのシャツにシミが少しくらい付いていたって、痛くもかゆくもない。ましてや女たちがそれに傷つく云われはないのだ。(lita)








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タグ: / フェミニズム / 家事労働 / フェミニズム研究