
「少女マンガを超えたマンガ家」と「型破りのアイドル」の“別の”女の生き方
「小泉今日子ってアイドルだったんですか?」
少し前に、30代の女性にそう聞かれました。ある年齢から下は、小泉今日子さんといえば、俳優なのかもしれません。
もしかしたら、岡崎京子さんのことも、名前は知っている、絵は知っている、でもマンガは読んだことがない、そんな人が増えているでしょうか。
7月に発売された『小泉今日子と岡崎京子』は、ともに80年代にデビューし、ポップカルチャー界の新しい風を吹き込んだ二人の生き方に焦点をあてた本です。
著者は社会学者の米澤泉さん。専門は、化粧やファッションといった女子の文化。世の中で「取るに足りない」とされていないと思われることから社会の本質を掬い取ることを研究の目的とされています。
小泉さんは、突然のカリアゲショートで「理想の彼女」としてのアイドル像を拒否。「なんてたってアイドル」とアイドルを演じる「私」を歌い、“型破りのアイドル”と評されました。
一方、“少女マンガを超えたマンガ家”岡崎京子さんは、女の子の夢と憧れではなく、不安と絶望、「女の子のあがき」を描き、運命の男性が「私の居場所」を作ってくれるわけではないことと作品から教えてくれました。
アイドルとマンガ家。ふたりが女性たちに与えた影響がどれほど大きいものだったかを米澤さんは解き明かしていきます。
80年代から90年代、女性は、結婚して子どもを産むことが当たり前とされる時代です。「大人の女」の生き方とは、「妻」となり、「母」になる生き方のことでした。そこに、そうではない生き方、別の女の生き方を見せてくれたのが、ふたりのキョウコだったのです。
自由への渇望とその実践。いまだジェンダー平等に遠く及ばない日本という国で、彼女たちが格闘したものはなんだったのか?
ぜひ『小泉今日子と岡崎京子』をご覧ください。
◆書誌データ
書名 :小泉今日子と岡崎京子
著者 :米澤泉
頁数 :212頁
刊行日:2024/7/3
出版社:幻冬舎
定価 :1760円(税込)
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