2012.12.07 Fri
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.本書は、40年以上日本の政治家として「活躍」する石原慎太郎のファンも、アンチ石原の方も是非とも手にとって欲しい書物です。
わたしはかねがね、植民地という負の遺産を楔のように打ち込んでおいて、その傷の回復どころか楔を抜くことさえ真剣に考えてこなかったアジアの隣国に対して、差別的、侮蔑的発言を繰り返す日本の政治家って、いったい何をしたいんだろうと思ってきました。政治家は、職務として、どんなことがあっても他国との紛争を避けるための方法を優先すべきであろうに、日本の政治家、とくに石原さんは、あたかも紛争が起きそうになることが楽しくてたまらないかのように、煽るばかりでおかしいな、と感じてきました。
最近のその一例が、尖閣諸島のうち、(なぜか?)3島を東京都が購入するという、(なぜか?)合衆国の(なぜか?)ヘリテージ財団での爆弾発言です。
豊下先生はこれまでも、安倍元首相の、集団的自衛権を行使できないのは「禁治産者の規定に似ている」という発想を、『集団的自衛権とは何か』で完膚なきまでに論破し、国際政治学上と国際法上の「常識」を優しく説き、公文書を丹念に読み解きながら、世間やジャーナリズムで流通する「俗論」からわたしたちの目を覚ましてくれました。
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本書で豊下先生は、尖閣諸島の個人所有は、4島あるのになぜ?、3島だけの購入のなのか、という鋭い問いから、北方領土と竹島という領土問題、中国と米国との両国関係、沖縄基地問題、さらに、日米同盟強化でも核武装でもない、「第三の道」の可能性まで提起してくれています。
わたしにとって、豊下先生の本はいつも、ハードボイルド小説を読んでいるように(って、読んだことないんですが、そういうジャンル)、次々と、なぞの扉を開いては、解いてくれる、わくわくどきどき、そしてハッとさせられる貴重な読み物です。ここでは、ほんの少しの「なぜ?」しか紹介できないのは残念ですが、その背景にはしっかりと答えが用意されています。ただ、わたしが恐ろしいのは、そして、おそらく本書を手にした読者がみな、驚がくするのは、豊下先生が書かれている歴史や事実は、わたしたちが現に生きている日本社会そのものだということです。
多くの読者に、この「なぜ?」が届きますように。
いずれにせよ、日本と中国の軍事紛争に米軍が出てこざるを得ない状況を作りだすというシナリオを描いているからこそ、石原氏はワシントンの財団で尖閣購入をぶちあげ、後に触れるように米国の有力紙に「支援」を求める広告を出したのであり、だからこそ、久場島や大正島(米軍の射撃場として、(なぜか?)中国名で貸与されている。米軍の許可なく日本人は立ち入ることができない現状--筆者補)がおかれている「屈辱的な現実」には一切触れようとしないのである。[...]石原氏は、中国との関係をひたすら悪化させるパフォーマンスには長けていても、その後の戦略的なシナリオを欠落させているのである。[96頁]
ちなみに、尖閣諸島で国有化されている大正島と、未だ個人所有のものを米軍のために国が(なぜか?)お金を払って借り受けている久場島(けれども、両島とも、現在はまったくそうした使用はされていないらしい)について詳しくは、「第11管区 海上保安本部」HPのこちらをどうぞ⇒「在日アメリカ合衆国軍訓練区域一覧表」、(なぜか?)名前は、両島ともに、中国名の黄尾嶼射爆撃場、赤尾嶼射爆撃場。
(moomin)
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