2013.03.27 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.長寿は、平和と豊かさの所産であり基本的に祝福されるべき人類の宝もの。しかしこの超高齢社会は、人類未曾有の体験だけに挑戦しなければならない課題も多い。
最大の課題の一つは介護だと著者は指摘。「大介護時代」と名付けたのには、第1にはさらなる長寿化、第2には介護を支えてきた家族の急激な変容があるからだという。おひとりさま、お二人様世帯の急速な増加は、確かに誰の目にも明らかだ。
大介護時代は自分の人生のどこかに「ケア」を組みこんでいく時代だという。老いが持つ脆弱性を、社会全体のしなやかな強靭性に転換可能ではないかという著者の力強い提言の書である。
福祉の国・重税の国スウェ―デンの現在を細かく取材。日本との違いは、そもそも男女の在り方にあるという。男女ともに働き易く、税金を払って国を支えている国と、女性が途中退社を余儀なくされ、安心して働き続けられない国。
家族だけではなく、「隣人」であっても「友人」であっても介護休暇が取れるなど、長寿社会を全員参加で支える社会を作っているスウェ―デンの試みを紹介。ますます進む大介護時代を迎えるのに、何が必要か、明快で適確な提言がいっぱいだ。
日本でも、地域での新しい試みが、あちこちで始まっている。そんなバラエティに富んだ取り組みの紹介が、未来に希望を持たせてくれる。
新造語作りの名人、「樋口恵子節」が随所に光って、暗くなりがちな話も最後まで面白く読める。高齢者にも若い人たちにも読んでほしい1冊だ。(中西豊子)
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