2010.11.29 Mon
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.女の老後は貧乏になるようにできていた!?
女性の平均寿命86.44歳と驚異的な伸びを示している中、こんなに長い人生なのに、女たちはその老後を貧乏に過ごさざるを得ないのが現状だという。女性たちは老いてからも「生活費」のために働きたいと願う。
一体、男性に比べて女性がどうして貧乏になってしまうのか、それを防ぐにはどうすればいいのか。この本ではその仕組み ―性役割分業を基本に考えられてきた制度の中で、女たちの働く意欲を削ぎ、その結果、老いを迎えてますます貧乏になってしまう仕組みだ― を鮮やかに解き明かしてくれる。
男女共に、景気の変動や政策の如何によって不安定雇用者が増え、人生のすべり台が待ち構えている時代だが、働く女性には、このほかに3度のすべり台があるという。女性の職場進出は確実に進んでいるとはいえ、今も第1のすべり台は、妊娠・出産で、7割が辞めて行くという。
第2のすべり台は、ここまで頑張って来た人も、2人目の出産で、その後の育児のために退職せざるをえなくなる人。また夫や自分の転勤問題・転職・リストラ・離婚など、2つ目のすべり台を乗り越えるのはなかなか難しく、30代・40代で職場を去る人が絶えない。
第3のすべり台は介護であるという。「介護の社会化」を旗印にスタートした介護保険だが、家族がフルタイムで働けるほどの在宅サービスは望むべくもない。兄弟姉妹の数が少なく、子の数より親の数が多いとさえいわれる現在だ。従ってあと少し頑張れば増えるはずの退職金や被用者年金も諦めて、介護退職を余儀なくされる人が今も多い。
この本では高齢になっても元気に働く女性たちを紹介しているが、やはり何らかの資格や特技を持つ人々が強いようだ。最後に国や自治体に望むこととして、すべり台を滑らさない、滑った後の笠を用意するようにと。雇用、社会保障、税制の見直し、育児と介護と仕事の両立支援法制を確立することなどの他、「新しい公共の担い手として、高齢女性(男性)活躍の国家的プロジェクトを立ち上げる」を挙げている。新しい視点だ。以前から問題になっている働く女性を取り巻く状況は、少しずつしか改善されていないが、みんなで何度でも根気強く言い続けて行こう。
この本は、シビアな話も、歯切れのいい樋口節、川柳などで楽しく読める。きっと適職にめぐり会えますよと励まされる。これから人生設計をする方にこそ必読の書だ。若い方に是非読んでほしい。
(豊子記)
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