2013.05.04 Sat
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.メディアで紹介されてきた食をとおして、昭和から平成の現在に至る家庭料理と女性の変化を浮かび上がらせた。
取り上げたのは『主婦の友』、『きょうの料理』、『オレンジページ』、栗原はるみの『ごちそうさまがききたくて。』、『男子ごはん』など、時代を代表する料理のメディア。また、向田邦子の『寺内貫太郎一家』、連続テレビドラマの『おひさま』、槇村さとるの少女マンガ『イマジン』、角田光代の『八日目の蝉』、久住昌之原作の『花のズボラ飯』といった人気フィクションの中に登場する食卓シーンも分析する。
流行するメディアには時代の意識が表れる。食のメディアを切り口に、丹念に時代の現象を拾うことで本書が描いたのは、私たちの暮らしの変化が、何によってもたらされたのかである。
描かれた食卓には、家族と社会的な環境の変化が投影されている。台所、生産・流通の近代化がもたらした豊かさ。次にやってくる、女性の社会進出の波。そして、豊かさを当たり前として育った女性たちが台所に立つ時代が来る。核家族化の先に登場するのは、新時代の家族のありようと食卓の担い手たちである。
生活の基礎であり社会を形作る大切な要素である食について、そこから見える風景について、深く考察した本である。これからの社会と食について考える手掛かりになればと願っている。(著者 阿古真理)
≪目次≫
はじめに
プロローグ 朝ドラ『おひさま』の理想の食卓――昭和初期
第一章 主婦たちの生活革命――昭和中期
(1) 料理研究家はセレブリティ
(2)向田邦子が描く食卓
第二章 『本格外国料理を食べたい』――昭和後期
(1) 料理上手は誰のため?
(2) 『オレンジページ』と『ハナコ』
第三章 家庭料理バブルの崩壊――1990年代
(1) キャリア女性は料理下手?
(2)ハルラー世代……カリスマ主婦の理由
(3) 食卓の崩壊と再生―2000年以降
第四章 食卓の崩壊と再生――2000年以降
(1)昭和後半生まれの食卓
(2)女子のご飯、男子のご飯
(3)スローライフの発見
エピローグ 新世代の家族のドラマ
おわりに
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