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『一冊の本をあなたに 3・11絵本プロジェクトいわての物語』 歌代幸子

2013.08.14 Wed

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.2011年3月、東北地方を襲った東日本大震災を経て、岩手県盛岡市で立ち上がった「3・11絵本プロジェクトいわて」。それは、1通のメールから始まった。

優れた絵本編集者であり、すえもりブックス代表として,タシャ・チューダーの『すばらしい季節』、ゴフスタインの『ピアノ調律師』、皇后美智子様の講演録などを手がけてきた末盛千枝子。家族と共に岩手県の八幡平へ移り住んだ翌年、震災に遭い、日本の子どもたちを真っ先に案じてくれたのはIBBY(国際児童図書評議会)の仲間たちだった。

彼らは戦禍や貧困に晒される子どもたちに本を届ける活動をしており、「怯える子どもたちは膝の上で絵本を読んでもらうときだけホッとしている」という経験も聞いていた。「何かできることはないか」と案じてくれる仲間たちに背を押され、末盛は「震災で怯える子どもたちに絵本を送りたい」と願う。その思いをメールに綴り、岩手で知り合った人たちに呼びかけた。

盛岡市中央公民館を拠点にプロジェクトが発足し、絵本を集め始める。呼びかけに共感する人々の輪はやがて全国へと広がり、半年後には23万冊を超える絵本が届いた。それを開梱し、仕分けする地道な作業はボランティアの女性たちが懸命に担い、宮古、釜石、陸前高田をはじめとする沿岸部の保育所や小学校などへ届けられた。

待ち受ける子どもたちは目を輝かせ、自分の好きな絵本を見つけて抱きしめる。小さな男の子がずっと探していたのは津波で失くしてしまったお気に入りの絵本だ。公民館へ届いた本の多くは家庭で大切に読まれてきたもの、皇后美智子様から贈られた絵本の数々もある。こうして誰しも「子どもたちのために何かできれば」と願い、響きあうように紡がれてきた活動なのである。

絵本は子どもたちに希望を与えてくれる――プロジェクトの活動も、そうした絵本の力を信じる人たちの手で支えられている。だからこそ、この物語はまだ終わらない。「一冊の本」を届けたい「あなた」がそこにいる限り‥‥。(著者 歌代幸子)

なお、3.11 絵本プロジェクトいわてについては、こちらからどうぞ








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タグ: / 絵本 / ボランティア / 震災