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『フランスのワーク・ライフ・バランス--男女平等政策入門』 石田・井上・神尾・中嶋編

2014.01.29 Wed

フランスのワーク・ライフ・バランス 男女平等政策入門:EU、フランスから日本へ

著者/訳者:石田 久仁子 井上 たか子 神尾 真知子 中嶋 公子

出版社:パド・ウィメンズ・オフィス( 2013-12-06 )

定価:¥ 3,024

Amazon価格:¥ 3,024

単行本(ソフトカバー) ( ページ )

ISBN-10 : 486462061X

ISBN-13 : 9784864620611

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ワーク・ライフ・バランスの実現こそは男女平等への道

EUの役割に注目しつつ、フランスの男女平等政策の全貌に迫る

   
3年前、私たちは大胆にも二兎ならぬ「三兎を追う」企画を立てた。一羽目はフランスのワーク・ライフ・バランス、二羽目はその土台にあるフランスの男女平等政策、三羽目はその背後にあるEUの男女平等政策である。執筆者のほとんどは日仏女性研究学会の会員であり、それぞれの専門分野でフランスの男女平等政策やジェンダー問題に取り組んできた。実現までこぎつけることが出来たのは、これまで研究してきたことを一般読者にも分かりやすいかたちで伝えることで、日本の男女平等政策の推進に少しでも役立ちたいという強い思いがあったからである。

では、なぜフランスのワーク・ライフ・バランスなのか? 現在フランスでは、出産や子育て期(25~49歳)の女性の労働力率が、1978年には64.1%だったのが83.9%に上昇している。また、出生率も1994年には1.68であったのが2.01に回復している。こうした変化を可能にしたフランスのワーク・ライフ・バランス政策について知ることは、相変わらず高い育児離職率に現れている日本の現実を変えるためのヒントになるであろう。

男女がともに職業とそれ以外の生活―そこには私生活だけでなく、市民としてのさまざまな活動も含まれる―をバランスよく生きること、私たちはワーク・ライフ・バランスをこのように理解し、その実現こそが男女平等への道であると考える。それを妨げているのは、日本では、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という根強い男女の役割分業意識である。男性と同レベルの学歴をもち、職業的地位をもつ女性が、子どもを産むと同時に子育てのほとんどすべてを担わなければならないという現状が改善されないかぎり、職業生活における平等、ひいては社会における平等は達成されないだろう。他方、もっと家庭生活にかかわりたいと思っている男性が職業のためにそれらを犠牲にしなければならないとすれば、それもまた男女平等に反している。

ワーク・ライフ・バランスは、こうした性役割を見直し、家族のあり方、そして社会制度をも問い直す包括的抜本的な取り組みがない限り、本当の意味での実現は困難である。本書が、育児休暇・保育制度・家族手当といった子育て支援策や労働政策に加えて、教育、政治参画、女性に対する暴力、リプロダクティブ・ヘルス・ライツ、高齢者介護といった幅広い分野におけるフランスの男女平等政策の紹介を試みたのはそのためである。

とはいえ、世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」によると、フランスは意外にも? 136カ国中45位と低迷している。105位の日本よりはまし とはいえ、まだ多くの課題を抱えている。フランスでも家事や育児・介護等のケア労働は主に女性が担っており、働き方の調整をするのも主に女性である。例えば、就業者に占めるパートタイム労働の割合は女性では30%であるのに対して男性は6.5%で、圧倒的に女性が多い。男女の給与格差も27%もあり、それは特に母子家庭や高齢女性の貧困として現れている。

そこで私たちは、フランスにおける問題点も明らかにし、どんな対策が取られているか、どんな政策が有効であるかを示したいと考えた。また同時に、その背景にあるEUの政策にも注目しないではおけないと考えた。

EUというと、未だに、経済的・政治的共同体というイメージが強く、男女平等政策についてはあまり知られていない。しかし、現行の基本条約(リスボン条約)は、男女平等の推進をEUの目的の一つとして掲げており(条文では、女が男の先に置かれていて、正確に訳すと「女男平等」)、加盟国の男女平等政策をリードしている。いまやEUとの関係に注目せずに、フランスのみならず加盟国の男女平等政策を語ることはできない。したがって、本書では、EUの政策が具体的にどのように加盟国の政策に反映されるのかを、法のレベル、政策施行の段階、そしてその成果の検証において考慮することを目指した。

全体は、それぞれ3章からなる三部構成となっており、第1部「フランスの女性たちはなぜ働き続けられるのか」では、ワーク・ライフ・バランスを支える諸制度、女性労働、家族政策、社会保障について扱っている。第2部「女性の人権はどう守られているのか」では、EUの人権に対する考え方、フランス国内の人権問題への取組み、性・セクシュアリティ、女性に対する暴力について扱っている。第3部「女性市民が社会を変える!」では、市民を作る教育、女性の意思決定の場への参画推進、アソシアシオン(民間団体)の動きについて扱っている。

男女平等政策についての入門書として、節ごとにコンパクトにまとめるとともに、本文中および資料篇で取り上げた合計50近くの図表により、複雑な制度や最新統計資料が一目で理解できるように工夫している。また、より詳しく知りたい方のために、巻末に参考文献リストも付している。是非手に取っていただければ幸いである。(編著者 井上たか子)

『女性情報』2014年1月号より








カテゴリー:著者・編集者からの紹介

タグ:女性政策 / / 性別役割分業 / ワークライフバランス

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