女の本屋

views

2565

少女の心は生きつづける『萩尾望都 対談集』

2014.07.24 Thu

 

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. イチオシにもすっかりご無沙汰しているのですが、この間ずっと書こうと思っていたのが萩尾望都の1970年代から2000年代の対談をまとめたこの対談集について。ひとりの人物の約40年近くを、対談集を通してみるのもなかなかおもしろいです。人って変わらないところはちっとも変わらないし、でも年を重ねるとともに社会的に立場みたいなものは変化していくから、周囲の期待もそれにともないちがってきます。

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.最初は手塚治虫、寺山修二だとか小松左京といった、たぶん先生みたいな相手から生徒のように「お話」を「拝聴」していた萩尾が、だんだん彼女を師と仰ぐ若手の漫画家たちと対談するようになる。でもぜんぜん偉ぶってないところが魅力的です。またささやななえとか美内すずえといった同世代の漫画家たちとの対話は「青春」という感じで、キュンとします。 

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. ところで萩尾望都と氷室冴子の対談のなかで、氷室がなぜ女の子小説『なんて素敵にジャパネスク』を平安ものにしたのかについて次のように言っています。

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください. 

萩尾 氷室さんは、おてんばな女の子ですよね。『なんて素敵にジャパネスク』とか。

氷室 あれは平安ものだから、かえっていいわけです。現代に設定してしまうと、けっこうつらいものがあります。例えば、私は少女マンガが好きで、学園ものなんかもストーリーとしては大好きなんですよ。ところがね、これが現実の世界だと、好きな男の子のために何か、その子が野球部だったりすると彼のためにしてあげたいって思って、マネージャーになるとか、そういうのがだめでね。で、私、何が嫌いってね、媚びる、この言葉が禁句なくらいイヤなんですよ。相手に純粋によく思われたいと思う気持ちはまた別です。関係性ですからね。そうじゃなくて、ほとんど無条件のように媚びちゃうっていうのがね、それが本当にイヤで。媚びない女の子を書きたいっていうのがあっても、現代の設定ではなかなか書けないんですよ。主人公の設定を高校生にしてしまうと、その子が媚びないでどうやっていられるかっていったら、すごい優等生か超美人か、なんかとんでもないことを付けていかなきゃいけないでしょう。ごく普通の成績で、顔もたいしたことのない女の子は、いったいどうやって媚びないで生きていけるの!って考えちゃう。で、解決策がない。

 わたしも強くうなずいてしまいます。そしてまた萩尾は別の対談で「私は、人間は少年・少女時代の抑圧から解放されることはないんじゃないかと思いますよ」と言っています。少年についてはわかりませんが、わたしは自分はもう少女ではないという自覚はもっているし、少女っぽくあろうとは少しも思っていないけれど、それでもやっぱり「女の子」にこだわりつづけていて、この萩尾の言葉にも、うんうんそうだよね、と思っているのでした。(lita)








カテゴリー:わたしのイチオシ / lita

タグ:漫画 / 女とアート / コミック / 萩尾望都