[tmkm-amazon]4622078392[/tmkm-amazon]「良妻賢母」は明治期につくられた新しい女性像でした。そこには女性を妻・母としてのみ国民として認めるという考えがありました。国会開設と同じ時期、出世コースに必須の漢文と外国語は女子教育から外され、女子は政治の場に入る手段をあらかじめ封じられたのです。代わりに与えられたのが「良妻賢母教育」でした。 政治が変わるとき、女性はどのように位置づけられたのでしょうか? 本書には3人の「外れた人々」が登場します。「演説する女」として名をはせ、女子教育に力を尽くした湘煙・岸田俊子。厳格な良妻賢母教育を受けながらも、『青鞜』を創刊して「新しい女」の先頭に立った平塚らいてう。夫と対等にやり合う「新しい妻」をはじめて新聞小説に登場させた夏目漱石。 言葉によって規範を越えた3人は、何を変え、何とぶつかったのでしょうか。本書は、近代日本とジェンダー規範の攻防を解き明かし、国家が描く理想の女性像の背後にあるものを見せてくれます。 (編集者 鈴木英果)