2015.03.25 Wed
アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。一度ページを再読み込みしてみてください.本書は、政治思想・フェミニズム理論を研究する、わたし(岡野)と日本を代表するといってよいフランス哲学者の高橋哲哉さんが、約20年ほど前に日本軍「慰安婦」問題を通じて出会い、その後それぞれの社会・政治問題へのコミットメントを通じて、戦後70年を迎える今日、再び憲法問題で出会い直した、その思索の軌跡を論じたものです。
安倍晋三首相が憲法改正手続きを決めた96条から改正しようといい始め(=それは、裏口入学だと憲法研究者から猛反発があり、あっさり撤回)、その後、集団的自衛権の行使を認める閣議決定、武器輸出三原則の撤廃(防衛装備移転三原則へ名前を変えて、軍需産業が今後活躍するようになります)、そしていま、国会では安全保障法制の好き勝手な改悪でどんどんと憲法九条のなし崩しが行われています。日本に違憲立憲審査権が確立していないことが、本当に悔やまれます。
本書では、昨今多くの本が公刊されている法律学的な憲法の議論とは少し異なり、日本の戦後政治をとりまく問題(天皇制・沖縄・男性中心主義など)を絡めながら、少しづつ、憲法をめぐる思想的問題へと対話を進めていきます。
わたし(岡野)的には、第三部「憲法をめぐる思想的課題」のなかで、「誰が憲法をつくるのか」といった問題や、ケアの倫理と国際関係について高橋哲哉さんの胸(脳?)かりて、じっくり議論できたことが大きな収穫だと思っています。
世界でも稀有な交戦権放棄をうたった日本国憲法は、第二次世界大戦後、平和を希求した(はずの)国連憲章とも呼応しながら、人類が殺し合いを避けるためになんとか編み出してきた立憲主義の思想にもっとも忠実な思想を表しているという点で、わたしと高橋さんは同意しました。
二人の対話にぜひ、読者の方々も参加していただきたいと思います(共著者 岡野八代)。
なお、2015年6月13日(土曜)には、同志社大学にて高橋哲哉さんと岡野とが本書を含め憲法をめぐる政治状況について市民の方々と語り合う、憲法サロンを開催します。場所は、同志社大学を予定していますが、詳細は京都96条の会のHPにてお知らせいたします。
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