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女性の貧困は社会の問題:ウィメンズカウンセリング京都15周年記念シンポジウムのお知らせ 周藤由美子

2010.09.02 Thu

WANのリニューアルおめでとうございます!

その記念イベントと同じ日に(もちろんわざとぶつけたわけではありませんが)、私の所属するウィメンズカウンセリング京都(WCK)が15周年記念のシンポジウムを行います。

テーマは「隠されてきた『女性の貧困』~ベーシックインカムは希望になるのか」です。

今回このテーマを選んだのは、WCK代表の井上摩耶子が2009年から「反貧困ネットワーク京都」の活動に参加したことがきっかけです。井上は男性の多い「反貧困ネットワーク京都」の話し合いの場で「『女性の貧困』あるいは『貧困へのジェンダー分析』という問題提起をしたい」と思って参加したそうです。そして、その中で自分自身にとっても、「私の自由意思に基づくかのような『非常勤人生』の選択は、性別役割分業社会における労働政策の『見えにくい罠』にまんまと掛けられたこと」に気づいたと言います。(2010年7月発行WCKニュース「15周年シンポジウムの案内」より)ここ数年、社会問題として注目されてきた「貧困問題」。しかし、「女性は父親や夫に食べさせてもらえるからいい」というような意識もあって、「女性の貧困」はずっと隠されてきたのです。

女性は昔から貧困だった、という現実はフェミニストカウンセリング(フェミカン)の現場でも直面する問題でした。フェミカンでは、DVやセクシュアルハラスメント、性暴力被害者の相談も多いのが特徴です。結婚してもDV被害にあって離婚を決断したり、働いていてもセクハラ被害にあって退職を余儀なくさせられたり、また子どもの頃に性的虐待を受けたサバイバーは結婚したり、就職したりすることに大きな困難を抱えていることも少なくなく、そうするとたちまち「貧困」は現実の問題になってきます。そうしたクライエントと話し合っていると、日本では女性が一人で経済的に安定して、安心して生活できるような社会の仕組みになっていないことを痛感します。そして、「経済的な不安」は、「精神的な不安」に大きく影響するのです。

DVやセクハラ・性暴力の被害にあっていなくても、女性は自己尊重感を高く持つことが難しいこともあって、仕事が見つけられないことについて「自分には特別の才能がないから駄目なんだ」「自分がもっと努力しなかったらこうなったのだ」と自分を責めてしまいがちです。しかし、女性が非正規雇用ではなく、生活できるだけの給料をもらえる仕事につけないのは、日本の社会がそのようにしてきたのであって、一人ひとりの女性の責任だけではないはずです。

いつからか当たり前のように言われるようになった「自己責任」論。しかし、フェミカンでは、「パーソナル イズ ポリティカル=個人的なことは政治的なこと」という考え方が基本にあります。「女性の貧困」は個人の問題ではなく、社会の問題であり、フェミカンに関わる私たちも社会を変えることによって、一人ひとりの女性の悩みを解決していきたい・・・そういった思いをこめた今回の15周年記念シンポジウムなのです。

皆さん、是非ご参加ください!(WANのリニューアル記念に参加されないのであれば)

カテゴリー:ウィメンズカウンセリング京都

タグ:貧困・福祉