2012.03.11 Sun
2012年3月2日(金)18:30~20:30、名古屋市男女平等参画推進センターにて、社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)主催の第3回セミナー「社会的責任(SR)が拓く、組織力アップ―あなたの組織は、ISO26000をどう活かせるか。」を開催しました。一般財団法人ダイバーシティ研究所、男女共同参画を推進する評価研究会、NPO法人参画プラネットの共催です。
開催案内はコチラ。
第1部の前半はNNネット幹事団体、一般財団法人ダイバーシティ研究所の代表理事、田村太郎さんから、基調報告として「国際規格ISO26000の意義とSRの最新動向」についてお話をいただきました。
SRの国際規格として、最も多くの国とセクターの参画と合意を得て生まれたISO26000の基本的な考え方から、構成と活用のポイント、特に「マルチステークホルダープロセス」「デューディリジェンス」「共謀の回避」など注目すべき視点とJIS化など最新の動向にも触れ、SR/ISO26000の全体像をお話しくださいました。また、NNネットの活動や社会的責任に関する円卓会議の紹介なども含みつつ、NPOやNGOへの期待と役割が変化している今、3.11を経た日本にとって、SR、特にマルチステークホルダープロセスで進められるSRが非常に重要な地域づくりの鍵となるというお話でした。
年間200回ほどの講演・講師をこなす田村さんならではの、参加者の反応に合わせた事例提供など、お話しの分かりやすさはさすが!加えて「関西人のSRは3分に1回笑いを取ること」と笑いをはさむ柔軟さで、SRやISO26000について知識の浅い方にとっても、身近で具体的に感じられた内容だったと思います。
続いて、第1部の後半は、同志社大学政策学部教授、山谷清志さんから、「実践へ活かす評価のあり方を考える―「評価」をめぐる現状と課題をふまえて」というテーマでの講演をいただきました。
評価の目的や質について考えるとき、SRの実践と非常に共通する部分が多いと思われると、山谷さんから前半の基調報告への感想から始まり、評価を組織活動やSRの実践に活かしていくために、「評価の質が問われるとはどういうことか」「どうすれば、目的が達成できる評価がつくられるか」など、評価にまつわる全体的なお話をコンパクトにまとめていただきました。日本の評価に対する傾向(評価への理解の浅さ、評価に対する誤解など)や、ご専門の行政評価の分野からの具体的な事例を通して、評価をよりより良い実践へとつなぐヒントをいただきました。
山谷さんも、ご出身は青森ですが今は関西人。田村さんに負けず劣らずのユーモアで会場を巻き込むお話しに、評価についての難解なイメージもほぐれたのではないでしょうか。
第2部は、お二人のトークセッションです。NPO法人参画プラネットの代表理事、渋谷典子さんがコーディネーター役となって進められました。田村さん、山谷さんから、それぞれのお話への感想やご活動の現場での体験をふまえ、SRと評価の接点を探る、示唆に富んだコメントをいくつかいただきました。SRの実践と評価の両輪を回すことによって、より良い組織づくりや社会づくりにつながるというくだりでは、双方のどちらのプロセスにおいても(SRの課題認識や取り組み課題設定、あるいは評価指標を決めるなどの、第一段階から全てのプロセスにおいて)マルチステークホルダープロセスが成功の鍵を握る点が再度、強調されました。フロアーからも、「ISO26000のJIS化によって、行政のSRの取り組みへの法的責任が強まる」というコメントなど、積極的なご意見や質問があり、参加者の関心の拡がりが感じられたセミナーでした。
カテゴリー:参画プラネット