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NPO法人参画プラネット☆シンポジウムと交流会「男性たちの文化祭」

2012.04.30 Mon

3月の市民交流事業は、「男性たちの文化祭」。“これからの男性の生き方の模索”をテーマに、パネルディスカッションと交流会をおこないました。文化祭らしく、バンド演奏あり、演劇ありの楽しいプログラムでした。
また、この文化祭は、連続講座「今様 男の生き方」講座の最後の回を兼ねています。4回の各講座を担当された講師によるシンポジウムからスタートしました。

まず、コーディネーターの上鵜瀬孝志さんから、次のような視点が挙げられました。毎年3万人を超える自殺や少子高齢化など社会問題、高度経済成長の時代が終わり、男性も生き方を転換させることが必要な時代になっていること。「お金があれば幸せ」との価値観が疑問視され、人の幸せ度を計る指針として、地域との関わり、家族や友人との親密度が挙げられることなど。なかでも、「友人は値年金」との言葉が印象的でした。友人とは、年金にも値するくらい価値ある大切なものという意味だそうです。年金と同じく、暮らしを支えるくらい大きな存在ですよね。

次にパネリストの市川季夫さんから、定年後の生活について、「3つの面の管理」の提言がありました。それは、金銭管理、健康管理、時間管理です。金銭面では、退職後は少額でもよいので、いろいろな方面に収入源があると心強いこと。健康面では、特に食について気を使い、なるべく外出し仲間を作るよう心がけることが心身の健康につながること。時間の面では、目標をもって暮らすことを挙げられました。これらの3つの面は互いに関連していて、バランスよく調整するのも大切とのこと。孤立しないで仲間と交流できる居場所、「男のとまり木」を作っていくことが必要なのでは、というお話でした。

内藤節子さんは、妻としての立場からお話しされました。子育てが終わって、大学で学び始めようとしたとき、夫が言葉で応援してくれたこと。大学院時代には、料理の面で夫がバックアップしてくれたエピソードを紹介されました。妻の起業について、夫が近所の人に嬉しそうに話していたと伝え聴き、面と向かっては言わなくても、妻が好きなことに取り組み、活き活きすることを夫は喜んでいるんだと気がついたそうです。「女性が暮らしやすい社会は、男性にとっても暮らしやすい社会である」とのお話が印象に残りました。

最後のシンポジストは早川けいさんです。早川さんは、妻をガンで亡くし子ども2人を育ててこられました。また、ご自身も大きな病気をされたことから、生きる価値観について思いめぐらされたそうです。「60歳以上の自殺者の7割は病気を苦にしており、なかでもうつ病が原因になることが多い」と早川さん。そこで、自殺の予防として、孤独にならず、人と人との結びつきを大切にすること、親友づくりを心がけることを提案されました。さらに、定年後の過ごし方については、「夫婦の価値観がくい違うことがある」とのこと。例えば、夫は夫婦2人でのんびりしたいと思っているのに、妻は夫の世話から解放されたいと思うなどです。しかし、たとえズレがあるまま定年を迎えても手遅れではないそう。それは、今から「自分のことは自分で」を実践することだそうです。「奥さんが居なくなると大変ですよ。病気で入院でもされたら。家のことさっぱりわかりませんでしたから!」と、早川さんの実感のこもった言葉に、ドキリとした男性も多いのではないでしょうか。

シンポジウムのまとめとして、①友だち-誘い誘われ外に出る、②生きがい-何はなくとも好奇心、③新しい価値観-「競争」から「協奏」へ、のキーワードが示されました。この3つは30代、40代も含めた男性に共通するもの、これらを実践することで、女性も暮らしやすい社会になるのではとのお話でした。
シンポジウム

後半の交流会は、MOMOIROバンドの演奏から始まりました。日本のポップスから昭和の歌謡曲、オールディズまで、幅広いジャンルの選曲で、手拍子あり、ダンスありで大いに盛り上がりました。観衆以上に楽しんでいるのは、実はバンドのメンバーさんだよねと確信させる、ノリノリの演奏でした。
momoiro

いよいよ最後は、「男・定年どこへ行く」の“感劇”上演です。今回は「酔人」を友人出演に迎え、劇団「OTN60」の旗揚げ公演となりました。それほど広いとは言えない交流ラウンジの、3か所を使って場面を変えるという離れ業が使われ、皆さんの情熱が伝わります。初舞台とは思えない堂々とした演技やセリフ回しに感心しきりでした。公園のベンチでさみしそうに座っているおじさん2名。等身大の中年男性の悲哀がストレートに伝わってきました。「女も応援するよ、頑張って」と心のなかで思わず声をかけた名演でした。

つながれっとのいつものイベントとはがらっと違い、交流ラウンジが男性ばかり。これからの生き方を模索されている男性がこんなに大勢いらっしゃることに、とても感銘を受けました。
昨年の大地震は、多くの人にとって自分の価値観を問い直す出来事になったと思います。勤め人には、定年の日は絶対にやってくる。定年も同じように価値観を問い直し、新しい生き方を、しかも自分もまわりも幸せにする生き方を選び直せるなら、幸いな出来事と言えるのではないでしょうか。
女性にとって、友だちと交流を持つことの価値は自明のこと。それ抜きの人生なんて、ありえないくらい大切なこと。女性の私は、お話を聞きながらオジサマたちに少々優越感(失礼!)。でも、女性も男性にその良さをぜひ味わってもらいたいし、新しいチャレンジに向けて応援したいと思っているはずです。定年後の男性の新しい人生が、パートナーと仲良く労りあい、仲間と楽しく幸せなものであるようにと強く願ったイベントでした。

カテゴリー:参画プラネット

タグ:くらし・生活 / 男性学 / 老後