2012.09.11 Tue
8月の市民交流事業は、ワールドカフェ「ママの“働く”について考えよう!」を開催しました。20~50代の多くの方のご参加があり、仕事と子育ての両立や、人生をどのように描くかなどについて、グループで活発に意見交換がありました。
今回の話し合いの手法として、ワールドカフェという方法が用いられました。この方法は、まるでカフェに集うようにオープンでリラックスした雰囲気の中で行われます。初対面の参加者同士でも自由にアイデアや意見が共有されて、交流とネットワーク作りが進むことを目的としたスタイルです。結論を出すことが目的ではないというのが、普通の会議とは大きく異なる点です。
5名ずつ座れるテーブルを8つ配置し、30分の枠組みで1つのテーマにそって話し合いをします。心に残ったこと、ひらめいたアイディア、イラストなどを、テーブルに用意された模造紙に、自由に書いていきます。30分が終了したところで、グループメンバーのうち1人だけを残して、ばらばらに新しいグループに分かれていき、また話し合いを開始するというやり方で、第2ラウンドまでおこないました。
最初に口火を切るかたちで、4名のスピーカーの方より、自己紹介とともに日常の様子や心がけていること、課題などのお話をいただきました。
杉浦美岐さんは、キャリアカウンセラーとして、人材サービス会社に勤務。周囲にも働くママが多く、お互いに仕事でカバーしあうなど協力体制がとりやすいそうです。仕事も家庭も2つの人生を楽しもうと、それぞれに集中できるように普段からマネージメントをしっかりしているそうです。
桃井陽子さんは、保育士として20年のキャリアがあり、現在小学生2人のお子さんがいます。仕事の時の子どもへの向き合い方と、家庭での我が子への向き合い方とが大きく異なった体験と、短い時間でも密度の濃い時間を過ごせているというお話をされました。また、女性が多い職場で悩みも似ていることや、この20年で父親の育児の役割がかなり増えたとの印象を語られました。
鈴木祐之さんは唯一の男性スピーカー。2児のパパです。長男の育児休業をとったことから人生観が変わり、転職しました。普段から保育所の送り迎え、日常の食事作り、洗濯などをこなすイクメンです。“ママが働く”が当たり前になるには、多くのサポートが必要と考えています。
新井みち子さんは2歳の子どものママです。出産後11ヶ月で保育園を利用して職場復帰しました。復帰することに迷いはなかったそうですが、子どもが次々と病気にかかったことで、これは大変だと実感したそうです。夫の協力があることが大きく、育児休暇中にママスタート・クラブに参加し、そこで仲間と関わることで乗りこえられたことが多いとのお話でした。
4名のスピーカーのお話の後、第1ラウンドがスタートしました。このラウンドのテーマは「スピーカーの方のお話を聞いて、あなたに響いたことは?」です。どのグループでも、メンバーは共通の興味や課題を持っているせいか、最初の自己紹介から会話がはずんで、30分では話したりないくらいの盛り上がりでした。
第2ラウンドのテーマは、「子育てをしながら、働くことの意味、メリットは何だと思いますか?」。自己紹介のあと、前のグループで何が話されたかを、グループに残ったメンバーから紹介がされます。会場では、笑い声があちこちから聞こえ、一方で、真剣に意見に聴き入る姿もみられて、初めて会った方々ばかりとは思えないくらい、熱心に意見交換が進んでいきます。
第2ラウンドが終了し、クロージングの時間。テーマは、「働くママたちに立ちはだかる“壁”は何だと思いますか?」というもの。まず個々にA5サイズの紙に書きだしてもらい、テーブルごとにそれを共有しました。20代の参加者からは「親に頼れない」、「職場で同じ立場がおらず、理解してくれる人がいない」といった悩みが語られ、50代の参加者からは「自分の時は、家事ができない夫、それがあたり前だったから…」と、当時を振り返っての話がされるなど、様々な意見が出されます。
そしてイベントの最後には、その紙を全体の模造紙に貼って、参加者で分かち合ってもらいました。そこには、働くママへの偏見、周囲の無理解などの外側のことから、自分の価値観や考え、一人でやろうと思いすぎてしまうことなど、主体的な事情まで幅広く様々な意見がみられました。
貼られた模造紙の前では、じっと意見を読み込んでおられたり、名刺交換して話し合ったり、と、多くの方々がなかなか去りがたい様子だったのが印象的でした。ここから新たなネットワークが生まれることを予感させられました。アンケートからも「普段、仕事と家事・育児に忙しく、周囲に同じような境遇のママがいないために、ストレスもたまりがちなのが、今回仕事を持ったママたちと話せただけでリフレッシュできた」という声が多く聞かれました。 引き続き、働く女性を応援するために、このような機会が提供できればと思いました。共催としてご協力くださった、ママスタート・クラブの榊原さん、大竹さん、ありがとうございました。(塚田 恵)
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