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NPO法人参画プラネット☆講演会・交流会「女性と災害復興プロジェクト―陸前高田市での支援から見えてくるもの」

2013.10.10 Thu

講演会
★第一部:日高橘子さんからのメッセージ

東日本大震災で被災した陸前高田市に一年間、名古屋市から長期派遣職員(保健師)として派遣された日高橘子さんが、一日一日の体験を振り返り、「女性の視点」でとらえる支援と復興のあり方を語りました。

 日高さんは長期派遣職員として災害関係の保健業務を担当し、陸前高田市の保健師は通常業務の復興(母子保健、特定検診、予防接種等)担い、役割分担して保健師としての仕事を展開されていました。長期派遣保健師は、「保健支援チーム」(陸前高田市、大船渡保健所、一関保健所)の総括として、保健支援チームの派遣体制、保健支援チームの相談役とコーディネート、医療と福祉関係などの関係機関等との対外的な窓口役、業務実績と記録の整理管理といった多岐にわたる役割を担っていました。その活動は、フェーズ0(3月11日、当日)緊急対策期という活動区分から始まり、急性期、応急対応期、応急対策期、快復支援期、復興期といった10段階のフェーズで整理されていて、それぞれのフェーズごとに想定されることがらと必要とされる支援について、参加者に具体的に語ってくださいました。そのなかから、いくつかを紹介します。

 まず、避難所生活で心配されるのは、感染症(インフルエンザ、感染性胃腸炎)、脱水症、ストレスからの不眠や薬が飲めないための持病の悪化、生活不活発病、エコノミー症候群等、避難所での病気のことでした。その予防は…①水分補給、②体を動かす、③手洗いです。病気等を抱えた方は、お薬手帳のコピーを常に持ち歩くこと、福祉サービス等を積極的に利用し支援体制を確保しておくこと、想定した避難方法を何度も練習しておくことが大切とのことでした。

 また、岩手県助産師会は、女性配慮するチラシを早急に作成し、避難所運営者へ届けたとのこと。そこには、①トイレを男女別に分けること、②授乳場所を作り見えないように囲うこと、③赤ちゃんのおむつ交換時見えないように囲うこと、④更衣室を男女別に分けること、⑤常に複数で行動すること、そして、「有事だからといって我慢して生活すると、頑張って体調を崩しがちになります。相談する窓口を多数つくり、できるだけ女性の相談に配慮ください」と書かれていたそうです。

 さて、女性が準備すべきこととして、日高さんは、「女性向け非常用持ち出し袋」の中身を伝えてくださいました。①自分の身を守る物品(帽子、軍手、スリッパ、笛または防犯ベル、ライト)、②健康保持増進のための物品(常時薬、絆創膏、ウェットティッシュ、マスク、月経用ナフキン、衣類<下着含む>、靴下、③情報収集のための物品(ラジオ、小銭<10円玉>、携帯電話など)、④生活のための物品(ポリタンク、新聞紙、飲料水、非常食、栄養補助食品、筆記用具、母子手帳、バンダナ、カイロなど)…知恵がつまったアドバイスでした。
 1年間、長きにわたって陸前高田市で活躍した日高さんのメッセージは、説得力があり、「思わず!納得」してしまうことがたくさんあったのです。

★第二部:松野サカエさん、松野勝男さん、おふたりからのメッセージ
 陸前高田市で避難所運営に携わった、松野サカエさんをゲストにむかえ、ご自身の体験を語っていただきました。
 松野さんは、夫とともに気仙沼の病院へ通院していたときに震災が発生。とにかく、車で自宅へと急いだそうです。自宅の100メートル先には津波がおし寄せ、ただただ驚くことばかりだったとのこと。その日のうちに近くの公民館が避難所となり、松野さんご夫妻は避難所運営の「要」となったそうです。日々、往来する避難者の方々にたくさんの食事をつくり、メニューをノートに記していたとのこと。今は、そのノートが貴重な資料となっています。サカエさんとともに、ゲストとして登場してくださった夫の松野勝男さん。避難所運営には、地域の協力が大切であることを訴えてくださいました。
 震災前、松野サカエさんは「ハッピーウェーブ」というグループで地域活動をしていました。3.11の後、その活動を継続するかどうか迷ったそうです。とはいえ、とにかく活動をスタート!その活動は、仮設住宅での「お茶っこサロン」(地域の人々が集まり、お茶を飲み語り合う会)そして「体操教室」へと名古屋市瑞穂区の方々からの支援もあり大きく展開していきます。松野勝男さんとサカエさん、おふたりからのメッセージはあたたかいエネルギーに満ちていました。

★第三部 「暮らし復興」トーク
 日高橘子さん、松野サカエさん、松野勝男さんをむかえ、暮らし復興にむけてトークを展開しました。印象的だったことは、被災された方々、そして地域が抱える現在の課題です。被災された直後には見えなかった課題が続出しているとのこと。例えば、せっかく生き延びた命を絶ってしまう方々が続出していること、大切な人を亡くした方へのこころのケア(被災直後は頑張っているが、時間が経ったときの対応が重要)、将来への不安(被災された方も、被災されていない方も)など…時間が過ぎていくことでは解決できない課題があることが判明しました。
 名古屋で暮らす…わたしたちにできること!いまこそ、考えるときです。

交流会
 「お茶っ子サロン」体験!交流会では、たくさんの質問が飛び交い、そして、ハッピーウェーブの体操も登場し、あっという間に時間が過ぎていきました。陸前高田市のテーマソングに乗って、全員で体を動かしたことが今も思い出されます。

 
 いつか、きっと…陸前高田市へ!
 参加者の一人ひとりが、そう思った講演会&交流会。
 日高橘子さん、松野サカエさん、松野勝男さん、感謝をこめて…ありがとうございました!■渋谷典子■

カテゴリー:参画プラネット

タグ:女性センター / エンパワーメント / NPO法人参画プラネット / 災害復興