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呆れたセクハラ奨励広告に抗議文を出しました! 牟田和恵

2014.09.25 Thu

2014年9月23日付朝日新聞第5面(大阪本社版・10版)に、呆れるセクハラ推奨広告が載りました。

中高年男性向けの『MADURO』という雑誌の創刊広告なのですが、カラー全面広告で、しかもショーン・コネリー風の男性モデルが登場。タイアップ広告で、雑誌と併せてフィーチャーされているのが、音響メーカーボーズ社のヘッドホンで、これを飛行機内で着用すると快適、という宣伝内容。そこに、なんと、こんな文言が、、

気分が楽になったらCAとたわむれてみましょう。彼女が話しかけてきたら、(ホントは聞こえてるけれど)聞こえないふりをして、「ナニ?」と言いたげに顔を近づけましょう。こんなに堂々と見知らぬ姫―ナに12㎝まで接近することって他にないです。あとは百戦錬磨のワザを見せつけてやってくださいまし。(強調は原文のまま)

    セクハラ推奨広告文言   広告全面はこちらセクハラ推奨広告全面

これだけでも呆れますが、その上、広告全体から見て、こうした行動が、おしゃれな中高年男性がすべき、「やんちゃ」なことであると表現されているのです。これでは読者に、キャビンアテンダントに対してのセクハラを指南・奨励しているにほかならず、非常に問題です。

日本でもすでに四半世紀にわたって、セクシュアル・ハラスメントが女性の人権・労働権を侵害する重大な問題であることが社会的に浸透してきました。そしてまた、今年6月に発覚、今も余波が続いている東京都議会での問題にあらわれているように、まだまだ解決の容易ではない、根深い問題です。そのなかで、このようにセクハラすることを奨励するような、いわば反社会的な広告を大々的に新聞紙上に掲載するとは、どういうことでしょうか。しかも、この広告は、企画・制作が朝日新聞社広告局です。朝日新聞社には、こうしたセクハラ奨励広告の掲載を許容している以上に、積極的に作り出している重大な責任があります。広告主のMADURO誌、ボーズ社の責任も、言うまでもなく大きいです。

私は、セクシュアル・ハラスメントや性暴力の問題について活動・研究してきた者として、新聞というマスメディアがこのようなセクハラ推奨を行うことを見過ごすことができず、掲載翌日の24日に、朝日新聞社広告局・MAZURO誌(株式会社yanG/yanG Co., Ltd.社)・ボーズ株式会社の三者に抗議と、なぜそのようなセクハラ推奨広告を行ったのかを質問する文書を送付しました。朝日新聞社広告局宛のものがこちら201409朝日広告局御中(抗議と質問)wanアップ用(個人情報に関わる部分を削除しています)。他2社に対して送ったものも主旨は同様です。

私は23日にこの新聞広告を見て驚き、昼ごろにTwitter にて発信したのですが(ツイッターアカウント:@peureka)、24日までで3000に及ぶリツイートがあり、この広告に同じように違和感を抱き、批判的な人々がおられることがわかりました。その中には、広告のターゲット層である中高年男性と思われる方もありました。この広告は、セクハラを推奨することで女性に対する人権侵害を容認していますが、他方、中高年男性に対しても、彼らはこのようなセクハラをやりたがっていると想定されているわけで、それは非常に無礼なことではないでしょうか。

一市民の抗議がどれほどの効果があるかどうかわかりませんが、こうして様々な手段で多くの人に問題を知っていただくことで、セクハラを許さない社会に向けて一歩を進めることができれば、と考えています。拡散と注目をよろしくお願いします。

朝日新聞は今、誤報問題で過剰ともいえる批判に遭っています。その新聞にこのタイミングでさらに批判を加えることには、複雑な思いもありますが、しかし、慰安婦問題を含むこれまでの報道に見られるように、女性の権利や人権の問題について、朝日新聞が積極的な報道を行ってきたことを私は評価しています。だからこそ、その姿勢の根元をぐらつかせるような、今回の広告に抗議し、今後このようなことなきよう、しっかりと反省と改善を行っていただきたいという思いです。

なお、私、中高年の男性の鈍感さがセクハラにつながっていることをこの本に書きましたので、紹介させていただきます。

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各社からの回答文きました。こちらから。








タグ:女性の人権 / 牟田和恵 / セクハラ / 抗議