views

772

相談10:回答 打越さく良弁護士

2012.07.12 Thu

1976年の婚氏続称制の導入前は,離婚後も婚姻中の姓を使用し続けたいとして,戸籍法107条1項による「氏のやむをえない事由による変更」の審判を申立てる方がたくさんいらっしゃいました。

 

申し立てられた各地の家庭裁判所では,離婚後旧姓に戻った人が,社会生活上多くの不便不利益を被ることを認め,婚姻中の姓を長年使用して社会的経済的地位を築いてきた等の諸事情がある場合には,婚姻中の姓に変更する「やむをえない事由」があるとして,離婚後旧姓に戻った当事者に婚姻中の姓に変更を認める審判を出して(東京家審昭和34.6.15家月11-8-119,熊本家審昭和38.7.31家月15-11-145,千葉家八日市支審昭和39.2.7家月16-18-119等多数),個別に要望が実現されるようになっていました。

 

このようなニーズを踏まえて,1976年に婚氏続称制度が導入され(民法767条2項)、離婚の日から3箇月以内に届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができることになりました。離婚届と同時に婚氏続称の届を提出することも可能です。

 

なお、初婚の際に婚氏続称を選んだ人が再婚して再婚相手の姓に変更し、その後離婚する場合には(そんなこと今先回りして心配するのもなんですが…)、再婚相手の姓を続称すること、初婚の姓に戻ることはできるのですが、初婚の前の生来の姓に戻るには、戸籍法107条1項の氏の変更申立てによるしかありません。なかなか厄介です。

 

氏が人格と密接不可分なことを考えると、氏の変更に頭を悩ませられる制度、それも悩むのは専ら女性であることは、いかがなものでしょうか。婚姻に際し夫婦同姓でなくてはならないという制度を維持している日本は、世界的にも今や珍しく、各国では、夫婦別姓や、結合姓を選択できるようになっています。日本でも、外国人と結婚した場合は、夫婦別姓ですし、希望すれば、同姓や結合姓(クルム伊達公子さん)を呼称として選択できます。それなのに、未だに日本人同士の結婚では夫婦同姓しか許されないのは奇妙です。夫婦同姓しか認めない民法750条自体、改正する必要がありますね!

 

追記
ただいま私は民法750条の違憲性・女性差別撤廃条約違反を問う夫婦別姓訴訟の弁護団の事務局長を務めています。応援を是非お願いします。

別姓訴訟を支える会 http://www.asahi-net.or.jp/~dv3m-ymsk/index.html
WANに掲載していただいた記事はこちらです。http://wan.or.jp/reading/?p=2645

カテゴリー:回答 / 打越さく良弁護士

タグ:くらし・生活 / no10 / 夫婦別姓 / 法律相談 / 打越さく良 / 旧姓 / 婚氏続称制 / 戸籍法 / 初婚 / 再婚 / 夫婦同姓 / 結合姓 / 夫婦別姓訴訟